ハッブル宇宙望遠鏡が撮影、柔らかに渦巻く“おとめ座”の渦巻銀河
棒渦巻銀河「Mrk 1337」(Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Riess et al.)
【▲棒渦巻銀河「Mrk 1337」(Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Riess et al.)】

こちらは「おとめ座」の方向およそ1億2000万光年先にある銀河「Mrk 1337」です。古い星が多く集まっている中央部分の赤みがかった明るい銀河バルジを、若く高温な青い星に彩られた渦巻腕が取り巻く、渦巻銀河ならではの姿。淡く広がる渦巻腕からは、どこか柔和な印象も受ける銀河です。

欧州宇宙機関(ESA)によると、Mrk 1337は中央に弱い棒状構造を持つことから棒渦巻銀河の特徴を有しているといいます。たしかに、NGC 613NGC 1365のような棒渦巻銀河と比べると、Mrk 1337の棒状構造はほとんど目立ちません。

棒渦巻銀河は渦巻銀河全体の半分程度を占めるとされていて、渦巻腕は棒状構造の両端から伸びていきます。銀河の形態を特徴付けているこの棒状構造は、その銀河における星形成活動に影響を及ぼしていると考えられています。ちなみに、私たちが住む天の川銀河も棒渦巻銀河の一つとされています。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による可視光線・赤外線・紫外線の観測データから作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「Cosmological Curiosity(宇宙論的な好奇心)」としてESAから2021年11月8日付で公開されています。

なお、ESAによると、この画像は宇宙の膨張速度に関する知識の向上を目的とした研究の一部として、2011年にノーベル物理学賞を受賞した天体物理学者Adam Riess(アダム・リース)さんの提案によって撮影が行われたとのことです。

 

関連:ハッブルが撮影、相次いで超新星が観測された“インディアン座”の渦巻銀河

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Riess et al.
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏