
こちらは、2024年4月に検出された超新星「SN 2024ggi」の爆発初期段階を描いた想像図。
星を取り巻く物質が形成した円盤の内部から、星の外層が上下の方向へと吹き飛ばされていく様子を描いています。

超新星検出からわずか26時間後に超大型望遠鏡で追加観測を実施
清華大学のYi Yangさんを筆頭とする国際研究チームは、最初に検出されてからほぼ1日後という早い段階での観測を行い、SN 2024ggiの“爆発の形状”を解明したとする研究成果を発表しました。
うみへび座の方向・約2200万光年先の渦巻銀河「NGC 3621」で発生したSN 2024ggiは、質量が太陽の8倍以上ある大質量星が起こすタイプの「II型超新星」でした。爆発した星は、質量が太陽の12~15倍・半径が500倍ほどの赤色超巨星とみられています。
進化した大質量星では、内部の核融合反応によって鉄のコア(中心核)が生成されるようになった頃、核融合のエネルギーで自重を支えることができなくなったコアが崩壊。その反動によって恒星の外層が吹き飛ぶことで、超新星爆発に至ると考えられています。

ただ、大質量星が爆発に至るまでの正確なメカニズムについては今も議論が続いています。提案されているモデルの違いは爆発の形状に現れると予想されているので、超新星爆発の形状を実際に観測することができれば、その星がどのようなメカニズムで爆発したのかを理解する手がかりになるかもしれません。
SN 2024ggiは世界時2024年4月11日3時22分に、掃天観測システム「ATLAS(Asteroid Terrestrial-Impact Last Alert System=小惑星地球衝突最終警報システム)」によって初めて検出されました。
サンフランシスコに到着したばかりだったYangさんはすぐに行動を開始し、初検出から12時間後にはESO=ヨーロッパ南天天文台に観測提案を提出。承認手続きを経た世界時2024年4月12日5時57分、ESOが運営するパラナル天文台(チリ)の超大型望遠鏡(VLT)によるSN 2024ggiの観測(FORS2による分光偏光観測)がスタートしました。ATLASによる初検出からわずか約26時間後のことです。

迅速な行動の甲斐あって、研究チームはSN 2024ggiの爆発の形状を明らかにすることができました。コアの崩壊によって発生した衝撃波が外側へと伝播し、加速された物質が星の外層を突き破った初期の段階では、爆発は縦に伸びた軸対称の形をしていたのです。ESOはプレスリリースで「オリーブのような形」と表現しています。
爆発が周囲へと広がり星を囲んでいた物質と衝突するにつれて、爆発の形は球形に近付いていきましたが、内部の噴出物が持つ軸対称性に変化はみられませんでした。
また、偏光の向きが時間とともに変化していく様子からは、爆発の軸と星を囲む物質の軸がずれていたこともわかりました。冒頭の想像図でも、爆発の対称軸と円盤の回転軸がずれているように描かれています。
【▲ 超新星「SN 2024ggi」の爆発の様子を示したCGアニメーション(Credit: ESO/L. Calçada)】
今回の研究成果について研究チームは、大質量星の爆発を引き起こす物理的なメカニズムに明確な軸対称性があり、超新星爆発の全体を通じて持続的に存在する可能性があると指摘。SN 2024ggiの迅速な追加観測がもたらした貴重な情報によって、“大質量星の最期”の理解がより深まることが期待されます。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- ESO - Unique shape of star’s explosion revealed just a day after detection
- Yang et al. - An axisymmetric shock breakout indicated by prompt polarized emission from the type II supernova 2024ggi (Science Advances)






















