宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月21日朝、「こうのとり」5号機にとって最初の軌道修正(初期高度調整軌道制御)が完了したと発表した。24日の国際宇宙ステーション(ISS)到着に向けて、順調に飛行を続けている。
「こうのとり」5号機は2015年8月19日20時50分49秒、H-IIBロケットによって種子島宇宙センターから打ち上げられた。ロケットは順調に飛行し、打ち上げから15分後に「こうのとり」が分離され、予定通りの軌道に入った。
その後、機器の立ち上げなどにも成功し、8月20日4時25分に最初の軌道修正となる初期高度調整軌道制御が完了したことが確認された。
今後、23日2時55分ごろに第1回軌道修正を、24日12時7分ごろに第2回軌道修正を、そして同日15時12分ごろに第3回軌道修正を行い、徐々にISSへと近づいていく。
そして8月24日の夜にISSのすぐそばにまで接近し、19時55分ごろにISSのロボット・アームによって把持(キャプチャー)される。その後、25日0時30分ごろに、固定金具を使ってISSに取り付けられ、3時ごろに「こうのとり」の与圧キャリアにある圧変電器(DDCU)の起動完了をもって、「結合完了」となる。与圧キャリア内への宇宙飛行士の入室は25日に予定されている。
「こうのとり」5号機をロボット・アームで捕まえる役目は、現在ISSに滞在中の油井亀美也宇宙飛行士が務める。またその際、米航空宇宙局(NASA)のジョンスン宇宙センターでは、若田光一宇宙飛行士が通信担当(CAPCOM、キャプコム)を務め、油井飛行士のサポートを行うことになっている。
また25日には、非与圧部に搭載されている暴露パレットが引き出され、そこに搭載されている実験機器などをISSに設置する作業も予定されている。
「こうのとり」(HTV)は、ISSに水や食料品、生活用品、そして実験機器やISSの予備部品などの物資を輸送することを目的として、宇宙開発事業団(NASDA、現在のJAXA)と三菱重工によって開発された無人の補給船である。
打ち上げ時の質量は約16.5トンで、最大で約6トンの物資を搭載することが可能となっている。「こうのとり」の大きな特徴として、1気圧に保たれた与圧部と、宇宙空間に曝け出された非与圧部の、2か所の異なる貨物の搭載区画を持っており、与圧部には飲料水や食料品、日用品や実験パレットを、非与圧部にはISSの船外に設置される部品や観測機器などを搭載することできるようになっている。
物資の搬出作業などが行われた後は、ISSで発生したゴミや、不要になった実験機器などを搭載し、9月下旬にISSから離脱。その翌日に大気圏に再突入して燃え尽き、ミッションを終える予定となっている。