火星と木星の軌道の間に位置する準惑星ケレスに向けて航行している探査機ドーンが、その目的地のケレスを捉えた新しい写真が公開された。米航空宇宙局(NASA)/ジェット推進研究所(JPL)が1月19日に発表した。

ドーンは2007年9月27日に打ち上げられたNASAの探査機で、小惑星ヴェスタと、準惑星ケレスの、2つの星を探索することを目的としている。ヴェスタとケレスは共に、火星と木星の軌道の間の、小惑星帯の中に位置する。ヴェスタはこの小惑星帯の中で2番目に大きい天体で、一方のケレスは1番大きな天体である。探査機が2つの天体を訪れ、その軌道に入って探査を行うのは世界初のことだ。

ドーンは打ち上げ後、イオン・エンジンを使って航行を開始し、2009年2月に火星をスイング・バイして加速し、2011年7月11日にヴェスタに到着した。そして約14か月にわたって探査を行い、2012年9月5日にヴェスタを離れ、次の目的地であるケレスへ向けてふたたび航行を始めた。ケレスへの到着は今年3月6日に予定されており、2014年12月29日からは「接近フェイズ」に入っている。

今回公開された写真は、1月13日にケレスから約38万3,000km離れた位置から撮影されたもので、まだ鮮明ではなく、もっぱら接近に向けた航行コースの修正などに使われるという。それでも、カメラ・チームの主任を務めるAndreas Nathues氏は「この最新の写真は、クレーターなどの、ケレス表面の構造について示唆を与えてくれます」と述べている。

今後、ケレスに接近するにつれて、徐々にその姿が鮮明になっていく。これまでに撮影されたケレスの画像のうち、最も鮮明なのは2004年にハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されたものだったが、今月下旬ごろから、そのハッブルの画像を凌ぐ、より鮮明な画像が得られるという。
「私たちは準惑星ケレスについて、ほんの少しのことしか知りません。ですが今、ドーンによってそれが変わろうとしています」。ドーンのチーフ・エンジニアで、ミッション・ディレクターを務めるMarc Rayman氏は、このように期待を述べている。

ケレス到着後は約1年をかけて、ケレスを回る軌道から探査を実施する予定となっている。その後の計画はまだ未定だが、機器などが正常で、探査機に余力があるようなら、さらに別の星を訪れる可能性もあるという。

 

■JPL | News | Dawn Delivers New Image of Ceres
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?feature=4449