中国は5月8日、開発中の上段「遠征一号」の写真を公開した。

遠征一号は中国が開発中の上段で、現在活躍中の長征三号ロケットや、開発中の大型ロケット長征五号の最上段に搭載し、衛星を目的の軌道まで送り届ける役割を担う。推進剤には四酸化二窒素と非対称ジメチルヒドラジンの組み合わせを使用し、2回の再着火が可能、軌道上で6.5時間に渡って運用することができるとされる。これにより、複数の衛星をそれぞれ異なる軌道へ送り届けたり、衛星を目標の軌道に直接投入したりといった芸当が可能となる。

中国は現在、独自の全地球測位システムである「北斗」の構築を進めており、すでにアジア地域限定でのサービスが始まっている。また2020年頃を目処に全世界でのサービス開始が予定されており、システム完成後も衛星を上げ続け、サービスを維持する必要がある。現在、北斗の衛星は、長征三号乙/G1や長征三号丙を使い、1機ないしは2機同時に打ち上げられているが、遠征一号により最大で4機同時に打ち上げることが可能となるという。

また、中軌道衛星や静止衛星の打ち上げの場合、一旦高度が低い軌道に投入し、そこから衛星のスラスターを使って最終的な目標の軌道へ移るのが一般的だが、ロケット側が目標の軌道まで直接、あるいはそれに近い軌道まで衛星を送り届けることができれば、衛星にとって大きな負担軽減となる。ただし、ロケット側にとっては打ち上げ能力が落ちる代償を伴うので、万能というわけではない。

現在のところロシアのプロトンロケットがブリースMと呼ばれる上段を使い、静止衛星を静止軌道に直接投入するサービスを展開しているが、遠征一号が登場すれば長征でも同様のミッションを行うことが可能になる。

また月・惑星探査機の打ち上げでも使われることになるだろう。

現在、遠征一号は今年中に、北斗の衛星の打ち上げでデビューする予定だ。

 

■我国首个“四级火箭”开始总装_中国航天科技集团公司
http://www.spacechina.com/n25/n144/n206/n133097/c689089/content.html

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