中国国家航天局は16日、月探査車「玉兎号」が3度目となる月の夜から目覚めたと発表した。しかし1月に発生した制御回路の故障は相変わらず解決していない。
玉兎号は3月14日7時42分(日本時間、以下同)に目覚め、また嫦娥三号の着陸機も12日の16時21分に目覚めた。両機が月の夜を越えたのはこれで3回目となる。すでに観測機器は再起動され、科学観測が再開されている。
嫦娥三号は昨年の12月2日に打ち上げられ、14日に月の「雨の海」に到着し、その約7時間後に着陸機から玉兎号が発進した。月面の走行や観測を着実にこなし、その後、月に夜が訪れるのに伴い、12月26日から休止状態に入った。
月はおおよそ2週間ごとに昼と夜が訪れ、昼の温度は120度、夜は-180度にもなる。そのため月面の探査機とってはこの夜を越える技術(越夜技術)が必要となる。玉兎号の場合、夜を越える際には太陽電池の一つを太陽が昇る方向へ向け、またもう一つの太陽電池は蓋のように折り畳まれ、内蔵しているヒーターで温め続けられる仕組みになっている。
月の夜が終わる約2週間後の今年1月11日、玉兎号は起床し、探査を再開した。しかし2度目の月の夜を迎える直前の1月25日、太陽電池パドルやマストを折り畳むための制御回路が故障、越夜に備えた正常な体制にならないまま夜を迎えることとなった。
一時、復帰は絶望的とさえ言われていたが、2月12日の午後に玉兎号は再び目覚め、故障は抱えたままであるものの、観測機器は動くため、探査が再開された。
そして2月22日、3度目の眠りに突入。今回も復帰が危ぶまれていたが、無事に目覚め、探査を再開した。しかし未だ故障を抱えたままで、いつまで探査活動を継続できるかは不明だ。
ちなみに、玉兎号の設計寿命は3ヶ月で造られており、着陸が昨年の12月14日であったことからすると、やや不完全ではあるものの、玉兎号のミッションは成功したと言える。ただ同時に、設計寿命を超えたということは、故障した制御回路以外でも、今後不具合が発生する可能性がある。
■嫦娥三号探测器第四月昼成功唤醒
http://www.cnsa.gov.cn/n1081/n7529/n308608/621762.html