アメリカ航空宇宙局(NASA)の木星探査機「ジュノー」は10月10日、地球フライバイを実施し、飛行速度をさらに上げた。
欧州宇宙機関(ESA)の発表によると、「ジュノー」による地球フライバイはアメリカ東部夏時間15時頃(日本時間10月10日4時頃)に行われ、地球から約560kmの距離まで接近した。フライバイ後にはセーフモードに陥ってしまったが、今の所、機体に異常は見当たらない。ただ、「ジュノー」が今回のフライバイで撮影した画像などについては、回収と分析が必要で、より多くの時間かかるという。
「ジュノー」はこのまま飛行を続け、2016年7月4日に木星に到達する予定で、9つの観測センサーを搭載し、木星を周回しながら固体核の有無や大気深層部における水やアンモニアの有無の調査、磁場の分布図作成などを行うことになっている。木星の深部を探ることで、太陽系形成に必要だった条件やメカニズムに迫ることができ、また、数多く発見されている系外惑星を理解する上でも鍵となる情報が引き出されるものと期待されている。さらに、これまで木星以遠の探査では原子力電池が用いられてきたが、「ジュノー」は大型の太陽電池を用いる。この点も斬新であり、かつ工学的挑戦でもある。
なお、アメリカの政府閉鎖が続いているため、今回もNASAからのプレスリリースなどは発表されていない。
■ESA and NASA stumped by cosmic mystery
http://www.esa.int/Our_Activities/Operations/ESA_and_NASA_stumped_by_cosmic_mystery