
(引用元:ESA/Hubble)
今回紹介するのは、2003年3月26日にESA/Hubbleから公開された、いっかくじゅう座の方向約2万光年先に位置する変光星「いっかくじゅう座V838星」(V838 Monocerotis)の画像です。ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の掃天観測用高性能カメラ(ACS)が、2002年4月30日に観測されたデータをもとに作成されました。

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V838星といえば、増光時の光が周囲の塵に反射して広がる「光のこだま(light echo)」が織りなす、鮮やかな画像がよく知られています。ところが今回の画像は、青を基調とした単色に見えます。
その理由は、撮影に使われたフィルターにあります。V838星の一連の観測では、
・F435W(Bに相当する青側の広帯域)
・F606W(可視の広帯域)
・F814W(Iに相当する近赤外側の広帯域)
といったフィルターが使われ、のちの時期の画像では複数フィルターのデータを合成してカラー化したものが公開されています。
いっぽうで、増光からまだ間もない2002年4月30日の撮影では、F435Wフィルターのみで観測が行われたため、公開画像もそれに合わせた単色(青で表示)となっています。
これは、急速に変化していく光のこだまを少しでも早く記録するために、カラー合成よりも観測そのものが優先された結果だと考えられます。実際、V838星の光のこだまは、わずか数日から数週間で見た目が大きく変わるほどの速さで変化しており、この時点ではまだ構造が小さく、中央に暗い空洞が見える初期段階の姿が捉えられています。

「光のこだま」が明かす星の周囲の塵
ESA/Hubbleの解説では、2002年1月、V838星は突如として太陽の約60万倍もの明るさに達し、一時的に天の川銀河で最も明るい星となったとされています。この増光で放たれた光が周囲の塵に反射されながら外側へ広がっていく現象が「光のこだま」です。増光が終わった後も塵を照らす光は広がり続けるため、数か月から数年にわたって変化する幻想的な姿が観測されました。
増光の原因について、発見当初は超新星爆発や新星に似た現象と考えられていましたが、現在では伴星との衝突・融合による「高輝度赤色新星(luminous red nova)」であったとする恒星合体説が有力視されています。2024年に発表された研究(Mobeen et al. 2024)では、VLTI(ESO超大型望遠鏡干渉計)やCHARAアレイ(ジョージア州立大学の光学干渉計)による赤外線干渉観測から合体残骸の周囲にジェットに似た双極構造が確認され、恒星合体後の環境がより詳しく明らかになりつつあります。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- ESA/Hubble - V838 Monocerotis in April 2002(heic0304i)
- ESA/Hubble - Hubble watches light echo from mysterious erupting star(heic0304)
- NASA/HubbleSite - Light Echo From Star V838 Monocerotis - April 30, 2002
























