
(引用元:ESA/Hubble)
今回紹介するのは、1769年に起きた「金星の太陽面通過」を、当時の観測者が残した1枚のスケッチです。紙面にはさまざまな動植物の姿が並び、右下には太陽面を通過する金星が小さく描かれています。

この画像は、ESA/HubbleとNASAのHubbleSiteから2001年11月27日付で公開されたものです。イギリス海軍の軍人・探検家ジェームズ・クックと天文学者チャールズ・グリーンが、1769年にタヒチで金星の太陽面通過を観測した際の記録とされています。
紙面には鳥や魚、植物などの姿が描かれ、その右下には太陽の縁を通過する金星の様子が並んでいます。クックとグリーンはイギリス王立協会の依頼を受け、エンデバー号でタヒチへ向かい、1769年6月3日にこの現象を観測しました。
観測の目的は、世界各地で記録された金星の通過時刻を比較し、地球と太陽の距離を求めることでした。しかし、金星の輪郭が太陽の縁と黒いしずくのようにつながって見える「ブラックドロップ効果」のため、正確な時刻を測るのは困難でした。それでも当時の人々は、太陽の前を横切る小さな黒い点から、地球と太陽の距離を導き出そうと試みたのです。この古いスケッチは、限られた観測機器と長い航海によって太陽系の大きさを測ろうとした、人々の探究心と観測の難しさを今に伝えています。
※…左列はジェームズ・クック、右列はチャールズ・グリーンによる観測スケッチです。黒い円は、太陽面を背景に見える金星のシルエット。このスケッチは金星の移動を時系列で描いたものではなく、金星が太陽の縁に出入りする際の見え方を記録したものです。
金星の太陽面通過とは
金星の太陽面通過とは、地球から見て金星が太陽の手前を横切り、太陽の表面に小さな黒い点となって現れる現象です。金星は地球より内側を回っているため、条件がそろうと太陽・金星・地球がほぼ一直線に並ぶことがあります。ただし、この現象は非常にまれで、約243年ごとに「8年間隔の2回」がまとまって起こり、その間には105年半、あるいは121年半もの長い空白が続きます。人の一生のうちに2回見られるかどうかという珍しさです。
金星の太陽面通過は、直近では2004年と2012年に観測されました。次回は2117年、その次は2125年と予測されています。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- ESA/Hubble - Drawing of 1769 transit of Venus by Captain James Cook and Charles Green (opo0138c)
- HubbleSite (NASA) - News Release: 2001-38
- Wikipedia - 1769 transit of Venus observed from Tahiti
























