2月、寒い日は続きますが、冬至から1か月を過ぎて昼は長くなり、ひそやかな春の訪れを感じられる季節です。しかし、星空ではまだ冬の星座が花盛りです。色鮮やかな1等星が輝く、美しい星空を楽しめます。
まず目に付くのは南の空に上る「オリオン座」です。等間隔にならんだ3つの2等星と、それを囲む4つの星からなるリボンのような形が目印です。4つの星はそのうち2つが1等星、残り2つが2等星です。1等星は北東側がベテルギウス、南西側がリゲルです。
オリオン座の東側でも、1等星を3つ見つけられます。空低いところでまぶしい輝きを放つのが「おおいぬ座」のシリウスです。全天に21個ある1等星の中で最も明るく、街中でもすぐに目に入ります。
空の中ごろにある星は「こいぬ座」のプロキオン、やや高い場所にある星は「ふたご座」のポルックスです。
視線を上げると、天頂付近に同じく1等星のカペラがあります。カペラを1つの頂点として描ける、将棋の駒のような五角形の星の並びが「ぎょしゃ座」です。アテネの王であるエリクトニウスがやぎを抱いた姿が星座になっています。
この五角形の星のうち、カペラから時計回りに2つ目の星は、実はぎょしゃ座の星ではありません。
この星はエルナト(角で突くもの)という名の2等星で、「おうし座」の角の星に当たります。長い角の並びの下には、瞳の星に当たる1等星アルデバランがあります。
ここまでで7つの1等星を見つけることができました。ベテルギウス以外の6つの星をまとめてみましょう。
- リゲル(オリオン座)
- シリウス(おおいぬ座)
- プロキオン(こいぬ座)
- ポルックス(ふたご座)
- カペラ(ぎょしゃ座)
- アルデバラン(おうし座)
これらの星を線で結ぶと、空に六角形が浮かびます。これが「冬のダイヤモンド」です。
きりりと引き締まった冬の空に浮かぶ雄大なダイヤモンドを、本物の空でも眺めてみてください。
東の空へ目を移すと、春の星座の王者「しし座」が上っています。2024年2月24日には、しし座の1等星レグルスの近くに満月が見られます。
今月の満月は、2024年のうち最も地球から遠い位置で起こります。最も近い満月(2024年10月17日)と比較すると、視直径(見かけの大きさ)が12%程度小さくなりますが、見た目には分かりづらいでしょう。
■うるう年・うるう日
2024年の2月は29日まであります。このように2月が1日多く、1年が366日になる年を「うるう年」といい、付け足された2月29日を「うるう日」といいます。
後述するように例外もありますが、原則として、西暦が4で割り切れる年はうるう年になります。
しかし、なぜうるう年というものができたのでしょうか。
その理由は、太陽と地球にあります。
地球が太陽の周りを回る周期(1年)は、正確に表すと365.2422日です。つまり、1年を365日とすると、毎年0.2422日(約5時間48分)ずつ「余る」ことになります。
わずかな余りに感じられますが、130年後には約1か月ものズレになってしまいます。
このズレを解消するために考え出されたのが、うるう日です。毎年生じる0.2422日のズレは、4年で0.9688日、つまりほぼ1日になります。そのため4年に1回、2月を1日増やすことでズレを調整するというわけです。
しかし、4年でぴったり1日ズレるわけではないので、うるう日を追加することで今度は毎年0.0078日(約45分)ずつ足りなくなってしまいます。このわずかなズレを調節するために、うるう年にはもうひとつルールがあります。それは
100で割り切れて、なおかつ400で割り切れない年は平年とする
というものです。
例えば、西暦2000年は100でも400でも割り切れるのでうるう年ですが、西暦2100年は400で割り切れないためうるう年になりません。
このルールを付け加えることで、時間のズレを1年で0.0003日(約26秒)まで抑えることができます。
さらに、400年がちょうど20,871週となり、400年経つと曜日が同じになります。
このようなうるう日のルールが定められているのが、現在世界中の国で使われている「グレゴリオ暦」です。ズレが極限まで抑えられているうえに、400年で曜日がぴったり揃うグレゴリオ暦は、非常に洗練された暦であるといえるでしょう。
うるう日は太陽と地球という大いなる存在に挑戦し続けた人類の英知が生み出した特別な1日です。大切に過ごしたいですね。
Source
- 国立天文台 - ほしぞら情報 東京の星空・カレンダー・惑星(2024年2月)
- 国立天文台 - ほしぞら情報 2024年 地球から最も遠い満月(2024年2月)
- 国立天文台 - どの年がうるう年になるの?
- 暦の科学 片山真人著 ベレ出版
文/sorae編集部