スペースX、ファルコン9でISSへのシグナス補給船運用21号機を打ち上げ

スペースXは日本時間2024年8月5日に「ファルコン9(Falcon 9)」ロケットの打ち上げを実施しました。搭載されていたノースロップ・グラマンの「シグナス(Cygnus)」補給船は軌道に投入されたものの、ロケットから分離した直後のエンジン燃焼が正常に行われず、新しい軌道計画に取り組んでいることをアメリカ航空宇宙局(NASA)がSNSやウェブサイトで報告しています。【最終更新:2024年8月5日10時台】

打ち上げに関する情報は以下の通りです。

■打ち上げ情報:ファルコン9(NG-21)

ロケット:ファルコン9 ブロック5
打ち上げ日時:日本時間2024年8月5日0時2分【成功】
発射場:ケープカナベラル宇宙軍基地(アメリカ)
ペイロード:シグナス補給船運用21号機「S.S. Francis R. “Dick” Scobee」

今回のミッション「NG-21」では、国際宇宙ステーション(ISS)に届けられる実験装置やクルーへの補給品など合計3857kgの補給物資を積載した無人補給船「シグナス」運用21号機が打ち上げられました。愛称の「S.S. Francis R. “Dick” Scobee」は、NASAの宇宙飛行士だったフランシス・リチャード・“ディック”・スコビー氏にちなんで命名されています。スコビー氏はNASAが運用していたスペースシャトルによる1986年1月のSTS-51-Lミッションで「チャレンジャー(Challenger)」のコマンダーを務めましたが、発射直後に起きた事故で他の6名のクルーとともに命を落としました。

シグナス補給船がファルコン9で打ち上げられたのは今回が2回目です。ノースロップ・グラマンはシグナスの打ち上げに使用してきた「アンタレス(Antares)」ロケットの1段目を強化した「アンタレス330」の開発をファイアフライと共同で進めていますが、アンタレス330の初飛行は2025年に予定されていることから、それまでのギャップを埋めるためにファルコン9が使用されています。

日本時間2024年8月5日0時2分にケープカナベラル宇宙軍基地第40発射施設から打ち上げられたシグナス補給船運用21号機は、発射14分40秒後にファルコン9の2段目から分離されました。NASAによると、分離から約30分後の同日0時44分に予定されていた最初のエンジン燃焼は燃焼シーケンスに入ることが遅れたために実施されず、1時34分に再スケジュールされたものの、エンジン点火直後の初期圧力がわずかに低い状態だったため中止されています。

その後、シグナス補給船は日本時間同日3時21分に2つの太陽電池パドルの展開に成功しました。NASAは6時頃の時点ではエンジン自体の問題を示す兆候は見つかっていないとしており、ノースロップ・グラマンとともに新しいエンジン燃焼および軌道計画に取り組んでいると述べています。ISSのロボットアームを使ったシグナス補給船のキャプチャーは日本時間2024年8月6日16時10分に予定されているということです。

■打ち上げ関連画像・映像

【▲ シグナス補給船運用21号機を搭載して打ち上げられたファルコン9ロケット(Credit: SpaceX)】
【▲ シグナス補給船運用21号機を搭載して打ち上げられたファルコン9ロケット(Credit: SpaceX)】

■打ち上げ関連リンク

 

Source

  • NASA - NASA’s Northrop Grumman Cygnus Completes Solar Arrays Deployment

文/sorae編集部 速報班 編集/sorae編集部