韓国科学技術院(KIST)は2月16日、月探査車の試作機を初めて公開した。早ければ2020年ごろに、同じく開発中のKSLV-2ロケットを使って打ち上げられる予定だ。
この月探査車は全長70cm、全幅50cm、全高25cmで、全備質量は20kgほどだという。電力源は上部に搭載された太陽電池によってまかなわれている。
車体は途中で分割されており、おそらく障害物を乗り越える際にサスペンションのように機能することを狙っているものと思われる。車体にはジュラルミンと炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が使われているという。車輪は6輪で、それぞれに独立したモーターを持っているようだ。材料はジュラルミンを使っているという。最高速度は秒速4cmで、約30度の坂を上ることができ、5cmの石を乗り越えられるという。
今回公開された試作機には取り付けられていないが、完成予想図によれば、車体の前部にはグラインダー方式の研磨システムをもち、月面の岩を削って分析が行えるようだ。また上面にはステレオカメラがあり、上下左右に回転できるようになっている。
また、月はおおよそ2週間ごとに昼と夜が訪れ、昼の温度は120度、夜は-180度にもなるため、月探査車にとってはこの夜を越える技術(越夜技術)が必要となる。韓国MBCの報道によれば、ソヴィエト連邦や中国が打ち上げた月探査車と同様に、韓国のこの探査車もプルトニウムの崩壊熱を利用したヒーターを持つという。
打ち上げは現時点で2020年に予定されている。打ち上げるロケットには、開発中のKSLV-2が使われるという。韓国は2009年から2013年にかけて、KSLV-1(羅老号)というロケットを3機打ち上げた経験がある。羅老号は第1段にロシア製の機体やロケットエンジンを用いていたが、KSLV-2はすべて韓国内で開発、製造することを目指しており、現在はロケットエンジンの試験が行われていると伝えられる。
打ち上げ能力は高度700kmの太陽同期軌道に1,500kgで、月軌道であれば200kgほどになるという。
開発が順調に進めば、2017年12月に試験機の打ち上げを行い、2019年12月と2020年6月にも打ち上げを行い、完成させるという。そして2020年中に月探査機を打ち上げたいとしている。
しかし、今年の月探査機の開発予算は大きく削られたことが報じられており、来年まではソフトウェアなどの開発が中心になるという。また探査車以外にも、月周回軌道に乗るための部分や、着陸機などを開発する必要があり、さらにKSLV-2の開発にもまだ多くの困難が待ち受けていることが予想されることから、2020年打ち上げという目標を達成するのは難しいだろう。
■The Chosun Ilbo (English Edition): Daily News from Korea - Korea Unveils Moon Rover
http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2015/02/17/2015021701757.html