ロシア連邦宇宙庁は2月17日、国際宇宙ステーションへの補給物資を載せたプログレスM-26M補給船の打ち上げに成功した。プログレスM-26Mは打ち上げから約6時間後にステーションに到着、これから物資の搬出作業が行われる。
プログレスM-26M補給船を搭載したソユーズUロケットは、現地時間2015年2月17日17時ちょうど(日本時間2015年2月17日20時ちょうど)、カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地の1/5発射台、通称「ガガーリン発射台」から離昇した。ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約9分後にプログレスM-26Mはロケットから分離され、一路国際宇宙ステーションへと向かった。
そして約6時間後の協定世界時16時57分(日本時間2月18日2時57分)、国際宇宙ステーションのズヴィズダー・モジュールに入港した。今後、ISSに滞在している宇宙飛行士によって、船内の貨物の搬出作業が行われる。
プログレスM-26Mは、ロシアのRKKエネールギヤ社が開発、製造した無人の補給船で、国際宇宙ステーションへの物資輸送を担っている。打ち上げ時の質量は7,287kgで、そのうち補給物資として、2,370kgの水や食料、日用品、修理用部品、燃料などが搭載されている。プログレスM-26Mは約6か月の間、国際宇宙ステーションに滞在し、最後はステーションで発生したゴミを積み、大気圏に再突入して、ゴミと共に燃え尽きる予定となっている。
プログレス補給船の打ち上げからステーション到着までは、以前は約2日掛かっていたが、2012年のプログレスM-16Mから6時間で到達できる飛行プロファイルが使われるようになり、以来いくつかの飛行で適用されている。また、プログレスとほぼ同型機である有人のソユーズ宇宙船でも、2013年のソユーズTMA-08Mから採用されている。ソユーズの船内は狭く、その中で2日間も過ごすというのは宇宙飛行士にとって相当なストレスとなっていたが、この6時間飛行プロファイルによって大きく軽減されることとなった。
こうしたショートカット飛行が可能になった背景には、2001年にソユーズ・ロケットを近代化したソユーズFGが登場し、また2008年にはプログレス補給船を近代化したプログレスM-Mが登場したことによって、より高い精度での軌道投入や軌道修正が可能となったことがある。ここに、事前にステーションの軌道を調整すること、そして打ち上げのタイミングを合わせることといった条件を設けることで、打ち上げからドッキングまで6時間という飛行が可能となった。
ただし、この方法はいつも使用できるわけではなく、バイコヌール宇宙基地の位置とステーションの軌道の関係上、6時間でドッキングできる機会は3日に1度しか訪れない。また打ち上げ前にステーションがデブリ回避などで軌道を変えた場合もこの方法は使えなくなってしまう。
その場合は打ち上げを延期するか、今まで通りの2日掛かる飛行プロファイルに変えなければならない。また、ロケットが狙った軌道にプログレスやソユーズを投入できなかったり、あるいは打ち上げ後に軌道修正に失敗した場合も、2日間掛かる飛行プロファイルに変更となる。
またロシアは現在、新しい航法システムの開発と試験も進めており、いずれは4.5時間での飛行も可能になるという。
■Ракета-носитель «Союз-У» с ТГК «Прогресс М-26М» стартовала с космодрома Байконур
http://www.roscosmos.ru/21293/