オービタル・サイエンシズ社は12月9日、今年10月8日に起きたアンタレス・ロケットの打ち上げ失敗を受けた、今後の対応について発表した。

同社によれば、まずアンタレスは当面の間打ち上げを停止し、その間の国際宇宙ステーション(ISS)へのシグナス補給船の打ち上げは、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス社のアトラスVロケットに委託することで、契約を交わしたという。アトラスVによるシグナスの打ち上げは2015年の第4四半期に実施され、またオプションとして、必要であれば2機目の打ち上げも行われることも契約に含まれているという。アトラスVはアンタレスよりも打ち上げ能力が大きいため、35%ほど多くの貨物をISSに運べるとのことだ。

オービタル社は米航空宇宙局(NASA)との間で、ISSに物資を補給する契約を結んでいるが、そのやり方については限定されていないため、アトラスVを使ってシグナスを打ち上げることによって契約は履行できるということになる。

一方アンタレスは、失敗の原因となった第1段ロケットエンジンを中心に、2015年いっぱいをかけて改良が施され、2016年の第1四半期、第2四半期、第4四半期に3機の、改良型アンタレスを打ち上げることを予定しているという。この改良によって、従来型のアンタレスより20%ほど多くの貨物をISSに運べるようになるという。

またロシアのタス通信や、米国のエヴィエイション・ウォーク&スペース・テクノロジー誌などの報道によれば、この新しいロケットエンジンには、ロシアのエネルゴマシュ社製のRD-181が採用される見込みだという。RD-181はソヴィエト連邦時代に開発された高性能エンジンRD-170の派生型の一つで、アトラスVが装備しているRD-180エンジンや、ロシアのアンガラ・ロケットのRD-191などの姉妹機にあたり、また将来的にソユーズ2.1vロケットに採用される予定のRD-193エンジンの輸出版とのことだ。RD-170は燃焼室やノズルが4つで1つのエンジンで、RD-180は燃焼室やノズルが2つだが、RD-191、RD-193、そしてRD-181は1つしか持たない。

従来型のアンタレスに使われていたAJ26エンジンは、ソ連で開発、製造されたNK-33エンジンを、米国に持ち込んで改修したものだったが、RD-181はオービタル社が直接、エネルゴマシュ社から輸入する形になるという。なお、このAJ26エンジンを新エンジンに換装する計画は、10月の打ち上げ失敗よりも以前から計画されていたことでもある。

また打ち上げ失敗で被害を受けた、ヴァージニア州ウォロップス島の中部太平洋地域宇宙港の発射台も修理が行われ、2015年秋にも完了し、同年末に評価が行われるとのことだ。

 

■ Orbital Announces Additional Details Concerning CRS Program and Antares Launcher Go-Forward Plans
http://www.orbital.com/NewsInfo/release.asp?prid=1928