三菱重工業株式会社と宇宙航空研究開発機構(JAXA)11月30日15時、翌12月1日に予定していた、小惑星探査機「はやぶさ2」を搭載したH-IIAロケット26号機の打ち上げを、12月3日まで延期すると発表した。打ち上げ時間帯において、射点周辺で制限風速を超える強風が予想されるためだという。
新しい打ち上げ日時は12月3日13時22分04秒となる。この1秒しか打ち上げられるタイミングはなく、これを逃すと翌日以降に延期となる。
なお、今後の天候状況などによっては、再延期の可能性もあるとしている。種子島宇宙センター提供の天気予報によれば、12月3日の打ち上げ時間帯の天候は曇りではあるものの、雷や強風、大雨の恐れはないという。また機体移動など、ロケットを外に露出させての作業が行われる12月2日の夜も、曇りではあるものの、雷や強風、大雨の恐れはないとしている。
「はやぶさ2」の打ち上げ予備期間は12月9日まで確保されている。三菱重工によれば、12月9日までに打ち上げができなかった場合の対処については何も決まっておらず、「今の段階では、9日までには打ち上げられるものと考えている」とのことだ。
地球と小惑星の位置関係や、ロケットや「はやぶさ2」の能力などから、「はやぶさ2」が打ち上げられる時期は決まっている。また、年明け早々にはH-IIAロケット27号機による情報収集衛星光学5号機の打ち上げも予定されており、近々その準備が始まることからも、無期限には延期できないという事情がある。
もし万が一、この冬に打ち上げができなかった場合は、次に打ち上げが可能となるのは約半年後となる。ただ、イオンエンジンをより長時間稼動させる必要が生じるため、エンジンや運用担当者への負担が大きくなる。
また1年後の2015年12月にも打ち上げは可能だが、よりイオンエンジンへの負担は大きくなるという。次に、今回ほどの条件の良い時期がやってくるのは、2024年になる見通しだ。
■JAXA | H-IIAロケット26号機による小惑星探査機「はやぶさ2」(Hayabusa2)の打上げ延期について
http://www.jaxa.jp/press/2014/11/20141130_h2af26_j.html