今年8月に起きた、航法衛星を2機搭載したソユーズST-Bロケットの打ち上げ失敗について、社と欧州宇宙機関(ESA)、欧州委員会で組織された欧州側の独立調査委員会は10月7日、原因は上段のフレガートMTの設計ミスであったと発表した。

今年8月22日、フランスの社は、ロシアから購入したソユーズST-Bを使い、欧州の全地球測位システム、を構成する衛星2機を打ち上げたものの、予定していた軌道に衛星を投入することができなかった。現在衛星は、機能そのものは正常ではあるものの、予定していた軌道へ行ける可能性はほぼなく、今後の運用計画は未定のままだ。

発表文によれば、この失敗の原因はソユーズST-Bの上段、フレガートMTの設計ミスであったとされている。

フレガートはロシアのNPOラーヴォチキン社によって開発・製造されている上段で、やゼニートで使われている。非対称ジメチルヒドラジンと四酸化二窒素を推進剤とし、最大3日間の軌道滞在と、20回以上ものエンジンの再着火が可能だ。またタンク形状が異なる、いくつかの種類が存在し、今回のミッションで使われたのはフレガートMTと名付けられたバージョンだ。

計画では、離昇後約9分に・ロケットの第3段から、フレガートMTと衛星が結合した状態で分離される。その後フレガートMTは1回目の燃焼を開始し、約13分後に燃焼を停止する。そして約3時間にわたり慣性飛行を行い、再びフレガートMTのエンジンを点火、約5分後に燃焼を停止し、衛星を分離する、という流れになるはずだった。

発表文では、フレガートMTの周囲に装備されている姿勢制御スラスターにつながるヒドラジン燃料の配管が、加圧用の極低温ヘリウムが通る配管と支持構造物を介して繋がってしまっており、フレガートMTが慣性飛行をしている間に熱が伝導し、ヒドラジンが凍って詰まり、姿勢制御スラスターのうち2基が動かなくなってしまったという。それによって、フレガートMTが慣性飛行中に自身の姿勢を正しく認識できなくなり、第2回燃焼時に誤った方向に向けて飛行してしまい、その結果、予定していた軌道に衛星を送り込むことができなかったとされる。

ヒドラジン燃料の配管と、極低温ヘリウムの配管とが繋がっていた理由は、設計図の表現が曖昧で、本来あってはならない実装が可能であるように書かれていたためであるという。つまり、正しく組み立てられたフレガートと、そうではないフレガートがランダムに生産されており、今回社が輸入したものは、いわば「ハズレ」であったということになる。

また、これまでも、今回のような間違った組み立てをされたフレガートが飛行していたはずだが、今回の失敗まで問題にならなかったのは、おそらく飛行時間が今回ほど長くはなく、ヒドラジンの配管が凍る前にミッションが完了したためであろう。

発表文によれば、すでにNPOラーヴォチキン社に対して、フレガートの熱設計の修正と、設計図の修正、また製造、組み立て、検査などの手順書などの文書の修正などが命じられており、すでに対応が始まっているという。社の代表取締役会長兼CEOのステファン・イズラエル氏は発表文の中で「この是正処置の適用は、NPOラーヴォチキン社にとっては容易であり、私たちは早ければ2014年12月にも、からのの打ち上げを再開したいと思っています」と述べている。

 

■Arianespace - Press Release - Soyuz Flight VS09: Independent Inquiry Board announces definitive conclusions concerning the Fregat upper stage anomaly
http://www.arianespace.com/news-press-release/2014/10-8-2014-VS09-results.asp