ESAユークリッド宇宙望遠鏡が撮影した「かじき座銀河群」の銀河たち

こちらは「かじき座(旗魚座)」の方向約6200万光年先の「かじき座銀河群」の一部です。銀河群とは数十個程度の銀河からなる天体で、銀河団よりも小規模な集団です。画像の中央で輝いている銀河は「NGC 1553」、その右に写っている銀河は「NGC 1549」と呼ばれています。

【▲ 欧州宇宙機関(ESA)の「Euclid(ユークリッド)」宇宙望遠鏡で撮影された「かじき座銀河群」の一部(Credit: ESA/Euclid/Euclid Consortium/NASA, image processing by J.-C. Cuillandre (CEA Paris-Saclay), G. Anselmi)】
【▲ 欧州宇宙機関(ESA)の「Euclid(ユークリッド)」宇宙望遠鏡で撮影された「かじき座銀河群」の一部(Credit: ESA/Euclid/Euclid Consortium/NASA, image processing by J.-C. Cuillandre (CEA Paris-Saclay), G. Anselmi)】

この画像は欧州宇宙機関(ESA)の「Euclid(ユークリッド)宇宙望遠鏡」に搭載されている「可視光観測装置(VIS)」と「近赤外線分光光度計(NISP)」で取得したデータをもとに作成されました。Euclid宇宙望遠鏡は可視光線だけでなく人の目では捉えられない赤外線の波長でも観測を行うため、画像の色はデータ取得時の波長に応じて着色されています(700nm付近を青、1.1μm付近を緑、1.7μm付近を赤で着色)。

ESAによると、かじき座銀河群には星形成活動が進んでいる銀河や相互作用し合っている銀河もあれば、比較的最近合体したとみられる銀河もあります。銀河群としての規模はより大きな銀河団とより小さな銀河群の中間あたりに位置していて、Euclid宇宙望遠鏡を用いて研究する上で有用かつ魅力的な観測対象だとされています。Euclidはかじき座銀河群で潮汐尾やシェル(殻)構造といった進化・合体する銀河の兆候を捉えているといい、銀河が時間の経過とともにどのように進化・衝突するのかを調査し、宇宙の歴史のモデルを改善することで、銀河が暗黒物質(ダークマター)ハロー(※)の中でどのように形成されてきたのかを理解できると期待されています。

※…重力で集まった暗黒物質の塊のこと。

2023年7月に打ち上げられたEuclid宇宙望遠鏡は、暗黒エネルギー(ダークエネルギー)や暗黒物質の謎に迫ることを目的に開発されました。数十億個の銀河の画像化を目指すEuclidの観測データをもとに、暗黒物質が形成したと考えられている宇宙の大規模構造に沿って分布する銀河の立体地図を作成することで、宇宙の膨張を加速させていると考えられている暗黒エネルギーについての理解も深まると期待されています。

冒頭の画像はESAから2024年5月23日付で公開されました。

 

Source

  • ESA - Euclid’s new image of the Dorado group of galaxies

文・編集/sorae編集部