米国のユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社は2日、米航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星OCO-2を載せた、デルタIIロケットの打ち上げに成功した。OCO-1は2009年に打ち上げに失敗しており、今回の成功でその雪辱を果たした。またデルタIIの打ち上げは2011年以来、約3年ぶりの打ち上げであった。
OCO-2を搭載したデルタII 7320-10は、太平洋夏時間2014年7月2日2時56分(日本時間2014年7月2日18時56分)、米カリフォルニア州にあるヴァンデンバーグ空軍基地のSLC-2Wから離昇した。ロケットは順調に飛行し、56分15秒後にOCO-2を予定通りの軌道へ送り込んだ。
OCO-2はNASAが運用する地球観測衛星で、オービタル・サイエンシズ社によって製造された。OCO-2とはOrbiting Carbon Observatory-2の略で、直訳すると「軌道を周回しながら炭素を観測する衛星」となる。衛星には3台の分光計が搭載されており、地球表面から反射された日光を測定することで、大気中の二酸化炭素を観測する。得られたデータは将来の気候変動への対策に役立てられる。
衛星は高度705kmの太陽同期軌道に投入され、16日ごとに同じ地域の上空に戻ってくる。また「A列車」と名付けられた、米国とフランス、日本の衛星群にも加わり、共同観測も実施する予定だ。
衛星の本体は直径約1m、全長約2mの六角柱の形をしており、打ち上げ時の質量は約450kg、設計寿命は2年が予定されている。
OCOの1号機は2009年2月24日にトーラスロケットで打ち上げられたが、衛星フェアリングの分離に失敗し墜落。今回はその雪辱戦となった。
今回打ち上げに使われたデルタIIは7320-10と呼ばれる構成で、これは第1段にデルタII用の超延長型ロング・タンクを持ち、エンジンはRS-27Aを装備、固体ロケットブースターの本数は3基、第2段にAJ10-118Kエンジンを装備し、第3段は搭載せず、衛星フェアリングは直径10ftのものを使用している、ということを表している。
デルタIIの打ち上げは、2011年10月28日のスオミNPPの打ち上げ以来、実に3年ぶりのことであった。デルタIIは今から25年前の1989年2月14日に初めて打ち上げられ、米空軍や民間企業、そしてNASAの衛星を数多く宇宙へ送り込んできた。打ち上げ機数は152機、そのうち失敗は2機のみで、成功率は約99%と極めて高く、また1997年の失敗の後は97機連続で成功を続けており、抜群の信頼性を誇っている。
しかし、すでに後継機のデルタIVが登場したこともあり、すでにデルタIIの生産は終わっており、在庫も残り3機となっている。今後は2014年10月に地球観測衛星スマップ(SMAP)を打ち上げ、そして2016年に地球観測衛星アイスサット2と地球観測衛星JPSS-1を打ち上げ、運用を終える予定だ。
■Delta II Successfully Launches NASA's Orbiting Carbon Observatory-2 (OCO-2) Mission - United Launch Alliance
http://www.ulalaunch.com/ula-successfully-launches-oco2-for-nasa.aspx