三菱重工業は14日、スカパーJSAT株式会社から、H-IIAロケットによる衛星の打ち上げ輸送サービスを受注したと発表した。同社がスカパーJSAT社、及び前身の一つであるJSAT社を含めて、打ち上げを受注したのは今回が初。打ち上げは2016年度に行われる予定だ。

発表では衛星名は明かされていないが、スカパーJSATによれば2016年度に打ち上げを予定している衛星はJCSat 15、もしくはJCSat 16であり、このどちらかであると推察される。JCSat 15、16は、米国のスペース・システムズ/ロラール社によって製造される衛星だ。

JSATシリーズの衛星はこれまで、フランスのアリアンロケットや、ロシアのプロトンロケット、ウクライナのゼニートロケットなどによって打ち上げられてきた。三菱重工業がスカパーJSAT、またその前身の一つであるJSAT株式会社から衛星打ち上げを受注したのは今回が初めてである。そればかりか、もう一つの前身である宇宙通信のスーパーバード衛星なども、もっぱら海外のロケットで打ち上げられており、日本の商業衛星の打ち上げ受注を三菱重工業が取ったのも初めてのことだ。

H-IIAは2007年に、その運用が宇宙航空研究開発機構(JAXA)から三菱重工へ移管され、以来商業打ち上げ市場への売り込みが続けられてきた。しかしH-IIAは、他より打ち上げ価格が為替レートの問題もあって高く、また種子島宇宙センターはその立地や設備にハンデを抱える中、苦戦が続いていた。

だがH-IIAは、23機中22機が成功し、また7号機からは17機の連続成功を続けるなど、他国のロケットに匹敵する信頼性を確立しつつある。そしてこれまでに、2012年に韓国航空宇宙研究院(KARI)のアリラン3号を打ち上げ、2013年にはカナダのテルスター社から、テルスター12Vの打ち上げ受注(2015年打ち上げ予定)を取っており、今回で3件目となった。

 

■三菱重工|スカパーJSAT株式会社から衛星打上げ輸送サービスを初受注
http://www.mhi.co.jp/news/story/1405145528.html