中国運載火箭技術研究院は10月27日朝、中国の月探査機「嫦娥三号」を打ち上げるためのロケットである長征三号乙(CZ-3B)を、西昌衛星発射センターへ向けて送り出した。
長征三号乙は北京にある同研究院の工場で製造され、ここから四川省にある西昌衛星発射センターまでは鉄道で輸送、到着は11月1日に予定されている。到着後はロケットの組み立て、そして嫦娥三号との結合など、打ち上げに向けた最後の作業が開始される。
今回打ち上げで使用される長征三号乙は、一般に長征三号乙増強型(CZ-3B/E)と呼ばれる機体で、またより厳密には、長征三号乙/G3(CZ-3B/G3)と呼ばれる4200Fフェアリング(直径4.2mのフェアリング)を装備したバージョンである。さらに今回の機体には嫦娥三号を打ち上げるため、ロケットの第3段に小型スラスターが装備されるなどの改良が施されているといわれている。
嫦娥三号は中国が送り出す3機目の月探査機であり、また中国にとっては初めてとなる月面への着陸と、無人探査ローバーによる走行に挑む計画で、現在今年12月初めの打ち上げを目指して準備が進められている。月面への軟着陸が成功すれば、ソ連のルナ計画における最後のミッション、1976年のルナ24以来、実に37年ぶりの快挙となる。
中国の月探査計画、嫦娥計画は大きく3段階に分かれており、嫦娥一号、二号の月周回衛星による探査を第一段階、そして今回の嫦娥三号、また四号の月面への軟着陸とローバーによる探査を第二段階とし、さらに続く第三段階となる嫦娥五号では、月面からのサンプルリターン(試料の回収)が計画されている。またさらにその後には有人月面探査も計画されている。
■“长三乙”发射队出征西昌