ロシアのラーヴォチキン社は23日、紫外線天文衛星スペクトルUFに搭載される望遠鏡の熱真空試験が完了したと発表した。

スペクトルUFはラーヴォチキン社やロシア科学アカデミーによって開発されている紫外線天文衛星で、その要となる望遠鏡T-170Mは、カメラレンズの製造でも知られるルトカリノ光学硝子工場(LZOS)や、全ロシア実験物理研究所(VNIIEF)、NPOルチによって開発されている。

熱真空試験とは、熱真空チャンバーと呼ばれる、宇宙空間に似せた温度や真空状態を再現できる設備の中に宇宙機や観測装置を入れて、宇宙空間の環境に耐えることができるかどうかを試すものだ。

スペクトルUFはロシアを中心とし、スペインやウクライナ、ドイツや中国など12カ国が協力している国際共同計画で、「世界宇宙観測所・紫外線」(World Space Observatory-Ultraviolet, WSO-UV)とも呼ばれている。打ち上げは、現在のところ2016年ごろに予定されている。

前回のロシアの紫外線天文衛星は、ソビエト連邦時代の1983年に打ち上げられたアストロンにまで遡る。アストロンはフランスと共同で開発され、ハレー彗星の観測などで大きな成果を残し、1989年に運用を終了した。その傍ら、アストロンの後継機となる計画が1988年に提案され、これが現在のスペクトルUFである。

当初打ち上げは1997年に予定されていたが、他の宇宙計画と同じくソビエト崩壊とロシアの資金難によって、同時期に提案された電波天文衛星スペクトルR、X線天文衛星スペクトルRGと共に、開発は遅れに遅れ、打ち上げ時期も延期され続けた。

その後、スペクトルRは2011年にようやく打ち上げられ、スペクトルUFやスペクトルRGもまた、遅れながらも開発が進められている状況だ。

 

■ Продолжаются работы по проекту «Спектр-Ультрафиолет» («Спектр-УФ)
http://www.laspace.ru/rus/news.php#403