先日、ロシア連邦が誕生して以来初となる、レーダーで地球を観測する衛星コンドルEが打ち上げられたが、もうひとつ、まったく別のアブゾールR(Обзор-Р)と呼ばれるレーダー衛星の開発が進められている。

ロシアのロケット・衛星開発企業の大手のひとつ、TsSKBプログレス社は7月30日、同社のアレクサンドル・キリリン社長を議長とする、アブゾールR計画の初期設計を評価する会議を開催した。この会議はアブゾールRの開発者はもちろん、同機のデータの利用を検討しているユーザー側の人間も出席し、肝心のレーダーをはじめとする機体設計の妥当性や、地上側で必要となる設備について話し合われたという。

ユーザー側として参加したのはロシア民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省、ロシア農業省などで、またおそらくは国防省からも参加があったのではないかと思われる。
アブゾールRはもともとマクサットR(Максат-Р)と呼ばれており、2011年ごろから研究が開始された。アブゾールとは「調査」や「測量」などといった意味だ。また同機に搭載されるカサートカ(Касатка、シャチの意味)と呼ばれるレーダーシステムは、NII TPによって2009年から研究が続けられていた。カサートカの分解能は1mかそれよりも高いとされる。衛星の設計寿命は8年が予定されている。

アブゾールRは民間向けの衛星として開発されているが、軍事ミッションへの利用も否定はされていない。また同社は光学衛星のアブゾールOも平行して開発しており、ゆくゆくは両衛星を複数組み合わせて運用することが計画されている。

TsSKBプログレス社によれば、9月にも初期設計が完了するとのことだ。アブゾールRの初打ち上げは2015年に計画されており、ロケットは同社が製造するソユーズ2.1bが使われる予定だ。
画像は今年のパリ航空ショーにおけるTsSKBプログレス社の展示の様子。一番右に置かれているものがアブゾールRの模型。

 

■Прошёл первый Совет Главных конструкторов по космическому комплексу «Обзор-Р»
http://samspace.ru/news/press_relizy/3828/

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