大陸間弾道ミサイルR-36M UTTHを改造した衛星打ち上げ機ドニエプルが、2年ぶりに打ち上げられるのと同時に、同機を運用するISCコスモトラス社も本格的に打ち上げ事業を再開させる。イズベスチヤ紙が25日、報じた。

ドニエプルは第1次戦略兵器削減条約(START I)によって、大陸間弾道ミサイルとしての任務から外れたR-36M UTTHを改造し、人工衛星を打ち上げるためのロケットに転用した機体で、1999年からこれまでに17機が打ち上げられ、16機が成功を収めている。打ち上げ能力は地球低軌道に最大で3tほど、また打ち上げコストは現在約3000万ドル(約30億円)とされる。

ドニエプルはロシアとウクライナが共同で出資して設立されたISCコスモトラス社によって運用されているが、しかし2011年8月17日を最後に打ち上げは行われていなかった。その理由としては、ロシアとウクライナとの間で金銭的な問題が生じたため、あるいはすでに製造された大陸間弾道ミサイルを転用することによって低コストに衛星の打ち上げができるという目論見が外れ、大して利益がでなかったためと言われている。またそもそもドニエプルには、四酸化二窒素と非対称ジメチルヒドラジンという人体や環境に有害な推進剤が使われていることから、カザフスタン政府やロシア国防省は快く思っていなかったとも伝えられる。今回の記事によれば金銭問題は解決したとされる。

なお、ドニエプルを運用するISCコスモトラス社によれば、現在は8月22日に予定されている、韓国のレーダー地球観測衛星コンプサット5の打ち上げに向け、準備を進めているという。また今年はもう1機のドニエプルの打ち上げが予定されており、来年は5機を打ち上げるとのことだ。

 

■Россия возобновляет запуски ракет «Сатана» - Известия
http://izvestia.ru/news/554298

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