宇宙航空研究開発機構(JAXA)と日本放送協会(NHK)は2024年5月8日、JAXAの火星衛星探査計画「MMX(Martian Moons eXploration)」の探査機に搭載される超高精細カメラ「SHV(Super Hi-Vision Camera)」が完成したことを発表しました。【最終更新:2024年5月9日15時台】
2026年度の打ち上げを目指して探査機の開発が進められているMMXは、火星の衛星フォボスから世界で初めて採取した地表のサンプルを地球へ持ち帰ることを目指すサンプルリターンミッションです。JAXAとNHKは2020年に共同開発協定を結んでおり、ミッションをスーパーハイビジョンで記録・映像化するためのカメラの開発が進められてきました。
今回完成が発表されたSHVはMMX探査機に搭載される13の機器の1つで、8Kカメラと4Kカメラの2台で構成されています(画素数は8Kカメラが7680×4320画素、4Kカメラが3840×2160画素)。8Kカメラは進行方向を、4Kカメラは側面方向を撮影できる位置に搭載され、火星とその衛星の高精細画像や着陸後のフォボス表面の撮影などが行われます。
NHKによると、8Kや4Kの映像はデータ量が大きく、通信速度の制約上そのまま送ることが難しいため、10秒間隔で連続撮影された静止画を地球へ伝送した後で滑らかな映像へ変換する方式が採用されています。今後はSHVをMMX探査機の帰還モジュール(火星圏から地球へ帰還する部分)に取り付けた後に、探査機のシステムとの結合試験が実施される予定だということです。
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文・編集/sorae編集部