宇宙航空研究開発機構(JAXA)と日本放送協会(NHK)は、宇宙空間で撮影可能な4K・8Kのスーパーハイビジョンカメラを共同開発し、現在進められている「火星衛星探査計画(MMX:Mars Moons eXploration)」の探査機に搭載することを発表しました。
この試みは、史上初の火星および火星の衛星を間近から8K撮影に挑み、探査機の飛行データと映像を組み合わせることで火星圏探査の様子を超高精細映像で再現するというものです。
JAXAはMMXの探査機を2024年9月に打ち上げ、2025年8月に火星圏(火星とその周辺)へ到着させることを予定しています。MMXでは「はやぶさ」「はやぶさ2」で培われた技術が活かされており、火星圏到着後は探査機をフォボス表面に着陸させ、サンプルの採取などを実施します。また、サンプル採取が完了した探査機は2028年8月に火星圏を出発し、打ち上げから5年後の2029年9月に地球へ帰還させるというサンプルリターンミッションとして計画が進められています。なお、MMXではイオンエンジンを搭載せず、短時間で速度を大きく変更できる化学エンジンのみが使われます。
NHKは、一定間隔で撮影し地球に伝送されたデータをなめらかな映像にし、放送などで広く伝えることを担います。撮影データは一部が地球に伝送されますが、オリジナルの撮影データは帰還カプセル内のメモリに保存し、地球に持ち帰ることを計画しています。
2025年はもう少し先の話ですが、火星圏の8K映像は3億km彼方にある火星の新しい姿をきっと私達に見せてくれるでしょう。
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Source: JAXA