タイタンの空を飛ぶドローン型探査機「ドラゴンフライ」打ち上げ1年延期
タイタンに着陸したドローン型探査機「ドラゴンフライ」を描いた想像図(Credit: NASA/Johns Hopkins APL)

NASAは現地時間9月26日、ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所が主導する探査機「ドラゴンフライ(Dragonfly)」の打ち上げが2026年から2027年に延期されたことを発表しました。NASAの惑星科学部門の予算における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を含む、ドラゴンフライプロジェクトチーム外部の要因が理由とされています。

ドラゴンフライ(日本語で「トンボ」の意味)は土星の衛星タイタンを探査するドローン型の無人探査機で、地球よりも濃密な大気(地表の気圧は約1.5気圧、大気の密度は地球の約4倍)を持つタイタンの空を飛んで移動します。2年半ほどのミッション期間中にドラゴンフライは砂丘やクレーターの底といったさまざまな場所からサンプルを採取し、タイタンの環境を調べる予定です。地球よりも太陽から遠く離れていることに加えて濃い大気が太陽光を遮るため、放射性物質が崩壊する時に発する熱から電気を得る「放射性同位体熱電気転換器(RTG)」を電源として搭載します。

2003年に始まった「ニュー・フロンティア計画」4番目のミッションとしてドラゴンフライが選出された2019年6月の時点では、打ち上げは2026年、タイタンへの到着は2034年が予定されていました。なお、今回の発表では打ち上げの延期にともなう到着時期の変更については言及されていません。

惑星科学部門ディレクターのLori Glaze氏は発表において、有機物が豊富に存在するタイタンに関する理解を大きく前進させるとともに、地球における生命の誕生と進化を支えたプロセスの理解を助けるものだとして、ドラゴンフライに期待を寄せています。

 

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Image Credit: NASA/Johns Hopkins APL
Source: NASA
文/松村武宏