渦巻くスターバースト銀河 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“おとめ座”の「NGC 4536」

こちらは「おとめ座(乙女座)」の方向約5000万光年先の渦巻銀河「NGC 4536」です。明るい中心部分を取り巻く渦巻腕(渦状腕)の1つは画像の左側へと差し出されたように広がっていて、どこか腕を伸ばした海洋生物を思わせる姿をしています。

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した渦巻銀河「NGC 4536」(Credit: NASA, ESA, and J. Lee (Space Telescope Science Institute); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America) )
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した渦巻銀河「NGC 4536」(Credit: NASA, ESA, and J. Lee (Space Telescope Science Institute); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America) )】

活発に星を生み出すスターバースト銀河

NASA=アメリカ航空宇宙局によると、NGC 4536は高いペースで新しい星を生み出すスターバースト(爆発的な星形成活動)が起きているスターバースト銀河のひとつとして知られていて、星の材料であるガスが(銀河の時間スケールとしては)比較的短期間で消費されようとしています。

渦巻腕を彩る青色は若く高温の大質量星から放射された光。そのあちこちを斑点状に彩る赤色は大質量星の放つ紫外線によって電離した水素ガスが光を放っている「HII(エイチツー)領域」です。HII領域はガスと塵を材料に星が形成される星形成領域でもあり、新たな星が誕生する現場であることから“星のゆりかご”と呼ばれることもあります。

冒頭の画像は2025年4月で打ち上げ35周年を迎える「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」のアーカイブに保存されている観測データから新たに作成されたもので、NASAが2025年3月8日付で公開しています。

銀河はそれぞれ異なる形態を見せてくれる魅力的な天体のひとつですが、NGC 4536のフックのような渦巻腕は筆者のお気に入りのひとつです。あなたが好きな銀河はどんな姿をしていますか?

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した渦巻銀河「NGC 4536」(右90度回転バージョン)(Credit: NASA, ESA, and J. Lee (Space Telescope Science Institute); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America) ; Edit: sorae編集部)
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した渦巻銀河「NGC 4536」(右90度回転バージョン)(Credit: NASA, ESA, and J. Lee (Space Telescope Science Institute); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America) ; Edit: sorae編集部)】

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典

  • NASA - Hubble Spies a Spectacular Starburst Galaxy