ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)と中間赤外線装置(MIRI)で撮影された「わし星雲」の“創造の柱”

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)と中間赤外線装置(MIRI)で撮影された「わし星雲」の“創造の柱”(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, J. DePasquale (STScI), A. Pagan (STScI), A. M. Koekemoer (STScI))】

こちらは「へび座」の方向約6500光年先にある「わし星雲」(Messier 16、M16)の一部を捉えた画像です。暗黒星雲が柱のような形をしていることから、この領域は「創造の柱(Pillars of Creation)」と呼ばれています。

左下から右上へと枝分かれしながら伸びる柱のように見える部分は、ガスと塵が集まってできた冷たい分子雲です。分子雲では、物質が高密度に集まった部分が自身の重力で崩壊することで、新しい星が形成されます。一部の柱の先端には、形成されたばかりの若い星がある場所が赤い光点として見えています。

これらの若い星はまだガスや塵に包まれていますが、やがて周囲の物質を吹き払い、柱のすぐ外側にある星々のようにその輝きを宇宙に放ち始めます。創造の柱という名前が示すように、この画像には形成されて間もない星とその誕生の現場が捉えられているのです。

また、柱の背後に広がる夕焼け雲のような赤い領域は、拡散した低温の塵があることを示しています。塵の雲は画像左下へ向かうにつれて晴れていくように思えますが、実際はその反対で、柱の根元へ向かうほど塵の密度は高くなっていくといいます。ちなみに、明るい星から放射状に伸びている針状の光は回折スパイク(diffraction spike)と呼ばれるもので、望遠鏡の構造によって生じています。

この画像は「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」の「近赤外線カメラ(NIRCam)」と「中間赤外線装置(MIRI)」を使って、2022年8月14日に取得された画像をもとに作成されました。ウェッブ宇宙望遠鏡は主に人の目では捉えられない赤外線の波長で観測を行うため、色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています(NIRCam…900nm:紫、1.87μm:青、2.0μm:シアン、3.35μm:黄、4.44μm:オレンジ、4.7μm:赤で着色。MIRI…7.7μm:青、11μm:緑、15μm:赤に割り当て)。

実は、ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた創造の柱の画像は、以前にもNIRCamとMIRIそれぞれのデータを使ったものが公開されています。今回公開されたのは2つの観測装置で得られた画像を使った、いわば完全版と呼べるバージョンです。

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分子雲の塵には人の目で捉えられる可視光線を遮りやすい性質がありますが、赤外線は塵に遮られにくいため、ウェッブ宇宙望遠鏡は分子雲の内部を見通すこともできます。天文学者は、ウェッブ宇宙望遠鏡による創造の柱の観測が星形成モデルの改良につながると期待しているとのことです。

冒頭の画像は、欧州宇宙機関(ESA)から2022年12月1日付で公開されています。

 

Source

  • Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, J. DePasquale (STScI), A. Pagan (STScI), A. M. Koekemoer (STScI)
  • ESA - Pillars of Creation (NIRCam and MIRI composite image)

文/松村武宏

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