相互作用銀河「IC 1623」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Chandar)

【▲ 相互作用銀河「IC 1623」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Chandar)】

こちらは「くじら座」の方向およそ2億7500万光年先にある相互作用銀河「IC 1623」(VV 114)の姿です。相互作用銀河とは、すれ違ったり衝突したりすることで互いに重力の影響を及ぼし合っている複数の銀河のこと。相互作用銀河なかには潮汐力によって大きく引き伸ばされていたり、笑顔や鳥を思わせる不思議な姿が観測されたりするものもあります。

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欧州宇宙機関(ESA)によると、IC 1623は2つの銀河が合体の最終段階を迎えた姿だと考えられています。一見すると画像のIC 1623は1つの銀河のようですが、これまでの観測結果からは2つの銀河の中心が約2万光年離れていることが判明しています。天の川銀河の円盤部の直径が約10万光年、太陽系から天の川銀河中心までの距離が約2万5800光年とされていますから、IC 1623では2つの銀河の中心がかなり近づいていることがわかります。IC 1623には暖かくて高密度のガスが相当量存在するとみられており、非常に強いガスの流入によって激しい星形成活動が点火されたコンパクトなスターバースト銀河(爆発的な星形成活動が起きている銀河)が合体後に誕生すると予想されています。

なお、この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡によって撮影されたものですが、13年前の2008年にハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ18周年を記念して公開された59例の相互作用銀河のなかにもIC 1623は含まれていました(末尾の画像)。当時の画像はハッブルの「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」による可視光線と赤外線の観測データをもとに作成されましたが、今回の画像はACSに加えて「広視野カメラ3(WFC3)」による赤外線・可視光線・紫外線の観測データも利用されており、IC 1623のさらに詳細な姿が明らかになっています。

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「Clash of the Titans」として、ESAから2021年6月21日付で公開されています。

2008年に公開された「IC 1623」の画像(Credit: NASA, ESA, the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration and A. Evans (University of Virginia, Charlottesville/NRAO/Stony Brook University))

【▲ 2008年に公開された「IC 1623」の画像(Credit: NASA, ESA, the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration and A. Evans (University of Virginia, Charlottesville/NRAO/Stony Brook University))】

 

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Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Chandar
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏

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