広大な宇宙では銀河どうしの接近や衝突はめずらしいことではなく、互いの重力によって色々な形にゆがんだ姿が数多く観測されています。そんな変わった姿をした相互作用銀河のペアのひとつを、ハワイのジェミニ天文台が撮影しました。

■2つの銀河の配置が鳥の「鷺(サギ)」に見立てられる

相互作用銀河「NGC 5394」(右下)と「NGC 5395」(左上)。その姿から「Heron Galaxy」とも呼ばれる(Credit: NSF’s National Optical-Infrared Astronomy Research Laboratory/Gemini Observatory/AURA)

写真の相互作用銀河は「りょうけん座」の方向およそ1億6000万光年先にある「NGC 5394」「NGC 5395」です。天王星を発見したことで知られるウィリアム・ハーシェルによって、1787年に初めて観測されました。大きいほうのNGC 5395はおよそ14万光年、小さいほうのNGC 5394はおよそ9万光年のサイズがあります。

この2つの銀河は、海外ではまとめて「Heron Galaxy」とも呼ばれています。「Heron(ヘロン)」とは日本語で鳥の「鷺(サギ)」のことで、大きなNGC 5395がサギの「体」に、2本の大きく伸びた構造を持つNGC 5394が細長い首の先にあるサギの「頭」に見立てられています。「頭」から伸びたクチバシの先にはちょうど別の銀河が写っていますが、ジェミニ天文台ではこの銀河を魚に見立てて「サギが魚を捕まえようとしている!」と紹介しています。

相互作用銀河では、かき乱されたガスが集中して星形成領域となり、星の形成が促進されることがあります。大きいほうのNGC 5395にみられる赤みを帯びたリング状の構造や、小さなNGC 5394の「クチバシ」部分などにみられる赤い領域が、2つの銀河の相互作用をきっかけにガスが集まった星形成領域とみられています。

冒頭でも触れたように、銀河どうしの接近や衝突はめずらしいことではありません。天の川銀河もおよそ100億年前には別の銀河を吸収したとみられており、40億年後以降にはアンドロメダ銀河と衝突すると考えられています。

Heron Galaxyとして見た場合の体と頭の位置。NGC 5394(頭)からNGC 5395(体)にかけて伸びる構造が、長くしなやかなサギの首に見立てられている(Credit: NSF’s National Optical-Infrared Astronomy Research Laboratory/Gemini Observatory/AURA、白色の注釈は筆者)

 

Image Credit: NSF’s National Optical-Infrared Astronomy Research Laboratory/Gemini Observatory/AURA
Source: ジェミニ天文台
文/松村武宏

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