地球に接近する小惑星を描いた想像図(Credit: ESA - P.Carril)

地球に接近する小惑星を描いた想像図(Credit: ESA - P.Carril)

ノイウルム応用科学大学のElmar Buchner氏らの研究グループは、2つの小惑星が互いに周回し合う二重小惑星の衝突によって形成されたと考えられてきたドイツ南部のクレーター「ネルトリンガー・リース(Noerdlinger Ries)」および「シュタインハイム盆地(Steinheim Basin)」について、別々の小惑星が数十万年の時間差で衝突した可能性を支持する研究成果を発表しました。

ネルトリンガー・リースは直径約24kmのクレーターで、今から約1480万年前の新生代中新世中期に直径約1kmの小惑星が衝突したことで形成されたと考えられています。もう一つのクレーターであるシュタインハイム盆地はネルトリンガー・リースの南西約40km先に存在しており、直径は約4kmとネルトリンガー・リースよりも小さく、衝突した小惑星のサイズも100~150mとみられています。

Buchner氏によると、シュタインハイム盆地が形成された年代ははっきりしていないものの、ネルトリンガー・リースとシュタインハイム盆地は二重小惑星の衝突によって同時に形成されたとする説がドイツでは定説とされてきたといいます。

そのいっぽう、一部の研究者らは2つのクレーターが同時には形成されていない、つまり別々の小惑星の衝突によって異なる時期に形成されたのではないかと考えてきました。クレーターの内部で発掘された化石をもとにした研究では、衝突の時期に数十万年の時間差がある可能性が指摘されています。そこで今回研究グループは、2つのクレーターを形成した衝突が地層に残した痕跡を詳しく調べました。

天体の衝突は地震噴出物を生じさせ、その痕跡が地層に残ることがあります。研究グループによると、ネルトリンガー・リース形成時にはMw(モーメントマグニチュード)約8.5、シュタインハイム盆地形成時にはMw約6.6の地震が起きた可能性があり、ネルトリンガー・リース形成時の噴出物は最大180km先まで飛来したことが知られていたといいます。

研究グループがアルプス山脈の北に広がる盆地の地層を調べたところ、ネルトリンガー・リース形成時の地震と飛来した噴出物の堆積を示す層を、シュタインハイム盆地形成時の地震によって生じたとみられる岩脈が横切っていることが明らかになったといいます。堆積物をもとに研究グループが算出したシュタインハイム盆地の形成時期は約1430万年前で、前述の化石から調べられた形成時期とも矛盾しません。

このことから研究グループは、ネルトリンガー・リースとシュタインハイム盆地を形成したのは約40kmの距離と約50万年の歳月に隔てられた2つの独立した天体衝突だった可能性が高いと結論。中新世中期の南ドイツは二重の災害を目の当たりにしただろうと論文に記しています。

 

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Image Credit: ESA - P.Carril
Source: EOS
文/松村武宏

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