木星の大きな衛星イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの4つは、1610年にガリレオ・ガリレイが発見したことからガリレオ衛星とも呼ばれています。若い木星の周囲でどのようにしてガリレオ衛星が形成されていったのか、その過程に迫った研究成果が発表されています。

■周惑星円盤のなかでイオから順に1つずつ形成されたか

木星のガリレオ衛星。左からイオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト(Credit: NASA/JPL/DLR)

Konstantin Batygin氏(カリフォルニア工科大学)らの研究チームは、初期の太陽系においてガリレオ衛星がどのように形成されていったのかをシミュレーションで再現しました。その結果、誕生して間もない木星を取り囲んでいたと考えられている周惑星円盤のなかでは、4つのガリレオ衛星が1つずつ順番に形成されていった可能性が示されています。

研究チームによると、木星の周惑星円盤が周囲の塵を蓄積する収集装置のように働き、円盤のなかでは氷や岩石でできた大きな衛星が誕生。その後、形成された衛星は周惑星円盤のガスと相互作用することで軌道が変化し、木星の近くへ移動していったとみられています。最初に形成されたのはガリレオ衛星のうち最も内側のイオで、次にすぐ外側のエウロパが形成されたとみられており、形成に要した期間はどちらも6000年ほどだったと試算されています。その後はさらに外側のガニメデが形成されたとみられますが、その期間はイオやエウロパの5倍となる3万年ほどを要したようです。

最後のカリストが形成される頃には太陽の放射によって周惑星円盤を構成する物質の多くが吹き飛ばされてしまい、半分の質量まで成長するのに5万年ほど、成長を終えるまでには900万年ほどかかったとみられています。このような衛星形成のプロセスは今回初めて提唱されたというわけではありませんが、Batygin氏らの研究では2019年に発表された「PDS 70」「HD 163296」といった若い恒星系における最新の研究成果も反映されています。

■シミュレーションでは軌道共鳴の成立過程も再現

また、ガリレオ衛星のうちイオ、エウロパ、ガニメデの公転周期は1:2:4の整数比に近い軌道共鳴(※)の状態にあることが知られていますが、今回の研究では軌道共鳴に至った過程についても説明されています。

研究チームによると、最初に形成されたイオと2番目に形成されたエウロパの間でまず1:2の軌道共鳴が成立。3番目に形成されたガニメデが木星近くへ移動するとともにこの共鳴に加わったことで、3つの衛星による軌道共鳴が成立したといいます。なお、4番目のカリストが形成された頃にはガスの多くが失われていたために軌道が大きく変化することはなく、結果として軌道共鳴に加わることもなかったとみられています。

※…ある天体を周回する2つの天体が重力で相互作用した結果、公転周期の比が「2:1」や「3:2」といった単純な整数比に近づく現象。ガリレオ衛星のように3つ以上の天体が関わるものは「ラプラス共鳴」とも呼ばれる

 

Image Credit: NASA/JPL/DLR
Source: Caltech
文/松村武宏

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