ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所(APL)と米航空宇宙局(NASA)は現地時間7月14日、冥王星系のフライバイ(接近・通過)を実施した探査機「ニュー・ホライズンズ」から、フライバイ後初めてとなる信号の受信に成功したと発表した。探査機の状態は正常で、またエラーなども記録されていないことから、計画通りの観測にも成功したことが確認された。
信号は日本時間2015年7月15日9時53分ごろ、NASAが運用する深宇宙ネットワーク(DSN)を構成するアンテナの一つ、スペインのマドリード近郊にある直径70mのパラボラ・アンテナ「DSS-63」によって受信された。
そのデータから、あらかじめプログラムによって計画されていた観測が正常に行われたこと、また探査機の状態も正常であることが確認されたという。
ニュー・ホライズンズは冥王星や、その周囲を回る5つの衛星を観測しつつ冥王星系に接近し、米東部夏時間2015年7月14日7時49分ごろ(日本時間2015年7月14日20時49分ごろ)に冥王星の上空約1万2500kmを、秒速約14kmの速度で通過し、その直後には冥王星の衛星「カロン」から2万9000kmのところを、同じく秒速約14kmで通過した。これらの通過後も引き続き観測を続けている。
この最接近前後、探査機はセンサーなどを冥王星やカロンなどに向け、観測に専念する必要があったことから、地球との通信は行われていなかった。最接近前後の活動は、あらかじめ探査機に送られていたプログラムにしたがって行われている。
その後、探査機はやはりプログラムにしたがって、米東部夏時間7月14日16時27分(日本時間7月15日5時27分)に、フライバイ後初めてとなる信号を地球に向けて発信した。これは「Phone Home(家への電話)」と呼ばれている。
そして信号は、探査機と地球間の約48億kmという距離を、秒速30万kmで飛び、約4時間半をかけて到達した。
このあと、観測データのダウンロードが始まることになっている。冥王星への最接近時に撮影された画像は、日本時間7月16日4時から開催される記者会見で公開される予定となっている。その他のデータについても順次ダウンロードされるが、データ量が多いことや通信速度が遅いこともあり、すべてのデータをダウンロードするまでには1年以上がかかる見込みだという。
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