中華人民共和国は6月26日、地球観測衛星「高分八号」を搭載した「長征四号乙」ロケットの打ち上げに成功した。高分シリーズは高い分解能を持つ地球観測衛星で、今回で3機目の打ち上げとなった。

ロケットは北京時間2015年6月26日14時22分(日本時間2015年6月26日15時22分)、山西省にある太原衛星発射センターの9号発射台から離昇した。中国航天科技集団公司(CASC)や中国国営メディアは、打ち上げは成功したと発表している。

また米戦略軍が運用する宇宙監視ネットワークは、高度469 x 481km、軌道傾斜角97.3度の軌道に衛星と思われる物体を、また高度228 x 472km、軌道傾斜角97.2度の軌道にロケットの第3段と思われる物体を検知しており、打ち上げ成功が裏付けられている。

高分八号は、中国が進めている民間向けの地球観測衛星システム「中国高分解能地球観測システム」(CHEOS、China High-resolution Earth Observation System)のひとつで、「高分」とは「高い分解能」という意味を持つ。複数の光学衛星と合成開口レーダー衛星群を展開することを目指しているとされ、得られたデータは国土資源部や環境保護部、農業部によって、農業への支援、防災や災害への対応、気候変動の監視、地図の作成、環境や資源の観測といった目的で使用されるという。

CHEOSは2006年に提案され、2010年に中国政府によって承認された。そして2013年4月26日に、光学センサーを持つ高分一号が長征二号丙ロケットで打ち上げられた。高分一号の光学センサーの分解能はパンクロマティックで2m、マルチスペクトルで8mで、また広い範囲を撮影するための分解能16mのカメラも搭載されているとされる。

また2014年8月22日には、高分二号が打ち上げれている。高分二号も光学センサーを積んでおり、分解能はパンクロマティックで0.8m、マルチスペクトルで3.2mという性能を持つという。

今回打ち上げられた高分三号もまた光学センサーを積んでいるとされる。公開された想像図からも、光学センサーが搭載されている様子が見受けられる。ただし、その性能については不明である。

なお、今回の衛星は八号と呼ばれているが、高分シリーズとしては通算3機目の打ち上げであった。三号から七号よりも八号の打ち上げが優先された理由は不明である。

また以前中国は、高分シリーズは全7機と発表しており、今回高分八号が打ち上げられたということは、計画に変更が生じた可能性がある。

以前の予定では、高分三号は分解能1mのCバンド合成開口レーダーを持ち、2015年中に打ち上げられる予定となっている。高分四号は静止軌道上から地表を広範囲で観測する光学センサー衛星で、分解能は50m、打ち上げは2015年中に予定されている。

高分五号は近赤外光域を観測できるカメラや温室効果ガスの検出器などを搭載した環境観測衛星で、2015年に打ち上げが予定されている。

高分六号は一号と同型機とされ、光学センサーの分解能はパンクロマティックで2m、マルチスペクトルで8mで、また広い範囲を撮影するための分解能16mのカメラも搭載されているとされる。打ち上げは2016年の予定。

そして高分七号は、ハイパースペクトルの立体地図を作成することができるカメラを持つとされ、2018年に打ち上げが予定されている。

 

■我国成功发射高分八号卫星
http://www.cnsa.gov.cn/n1081/n7529/n308608/719529.html