軌道上で制御不能の状態に陥っている、ロシアの無人補給船「プログレスM-27M」について、ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)は4月29日、記者会見を開き、国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングは不可能であり、ミッション継続を断念したことを発表した。
プログレスM-27Mは4月28日、ソユーズ2.1aロケットによってカザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。計画ではその約6時間後にISSにドッキングする予定だったが、打ち上げ直後にプログレスM-27Mに何らかの問題が発生し、通信ができなくなった。
当初はいくつかのアンテナが展開してないものとされたが、その後プログレスから送られてきた断片的な情報から、船体が制御不能に陥り、約4秒間に1回転という、明らかにおかしな向きと速度で回転していることも判明した。
その後も回復に向けた努力が続けられているが、現在もまだ制御不能のままであり、この記者会見においてISSとのドッキングは不可能であり、ミッションの継続を断念すると発表された。また米航空宇宙局(NASA)も、同日中に同様の発表を行っている。
ロスコスモスでは、今後もプログレスとの通信や機能の回復を試みるとしているが、これはドッキングを目指したものではなく、原因の究明や、大気圏への制御落下を目指したものになる。ロスコスモスによると、このまま制御が回復できなければ、5月5日から7日ごろに大気圏に再突入する見通しだという。破片などが地上に降り注ぐ恐れはまずないものの、機能が回復し、狙った場所に制御落下させることができれば、その心配をさらに減らすことができる。
記者会見では、ロケットとの分離予定時刻の1.5秒前に、プログレスからのテレメトリーが途切れたとされ、ロケットの分離の時点で何らかの問題が起きたことが示唆されている。
また事故の原因を調査する組織が立ち上げられたことも発表され、5月13日以降に最初の調査結果が出せるだろうとしている。
■РОСКОСМОС: БРИФИНГ О СИТУАЦИИ С ТГК ПРОГРЕСС-М-27М
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