昨年打ち上げられ、地球と月との往復航行に成功した後、地球・月系のラグランジュ第2点に移動して運用を続けていた中国の「嫦娥五号試験機」が、再び月軌道に向けて移動を始めた。中国航天科技集団公司(CASC)が1月7日付けで発表した。

嫦娥五号試験機は、2017年に打ち上げを予定している「嫦娥五号」の開発に役立てるため、地球と月との往復航行や、第2宇宙速度に匹敵する高速で地球の大気圏に再突入する技術などの実証を目的とした探査機で、2014年10月24日に打ち上げられ、月を往復した後、同年11月1日に地球へ帰還カプセルを投下し、ミッションを完了した。

サービス・モジュールのみとなった嫦娥五号試験機はその後、地球・月系のラグランジュ第2点へ向けて航行し、同点の周囲を回りつつ、運用が続けられた。そして日本時間1月5日0時ちょうどに同点から離れ、再び月へ向けて移動を開始した。順調に行けば、1月中旬ごろに月の周回軌道に入るとのことだ。

中国国営の新華社が報じたところによれば、同機はまず2月から3月にかけて、仮想の目標とのランデヴー試験を実施するという。2017年に打ち上げられる予定の嫦娥五号では、着陸機が月の土や砂を回収した後、月から離陸し、月周回軌道で待機している帰還船とランデヴーし、ドッキングして地球に帰還するという手順を踏むことから、そのための試験や運用のノウハウを得られるという意味合いがある。

そして4月には、嫦娥五号の着陸地点の選定に役立てるため、探査機に装備されているカメラを使って月面を撮影するとのことだ。

 

■探月三期再入返回飞行器服务舱飞离地月L2点_中国航天科技集团公司
http://www.spacechina.com/n25/n144/n206/n214/c826483/content.html