ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)は2014年6月9日、プログレスM-21M補給船を大気圏に落下させ、約7ヶ月間に渡るミッションを完了した。

プログレスM-21Mは2013年11月26日、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地からソユーズUロケットに載せられ、国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられた。船内にはISSへ補給するための水や推進剤、酸素、そしてISSに滞在している宇宙飛行士のための食料や衣類など、合計2,398kgの補給物資を搭載。打ち上げから3日後の11月29日にISSのズヴェズダ・モジュールにドッキングした。

プログレスM-21Mは6月9日22時33分(日本時間、以下同)にISSから離脱し、6月10日1時34分に逆噴射を開始、そして大気圏に再突入し、2時23分に南太平洋上で燃え尽きた。

今回のプログレスM-21Mのミッションでは、クールスNAと呼ばれる新型のランデブー・ドッキング・システムが搭載され、試験が行われた。現在、プログレス補給船やソユーズ宇宙船にはクールス、もしくはクールスAと呼ばれるシステムが使われているがこれは、合計6基ものアンテナを使い、かつ展開を必要とするアンテナが多く、またウクライナ製の部品を使用していることが短所であった。

そこで2003年から、アンテナの数を減らし、可動部分と消費電力を少なくし、かつ完全にロシア製にしたクールスNAの開発が始まった。クールスNAでは、クールスAで使われている6基のアンテナのうち、4基が1基のアンテナに置き換えられた。

クールスNAは2012年に打ち上げられたプログレスM-15M補給船で初めて搭載され、ISSへのランデブー・ドッキングで試験が行われたが、最終的にはドッキングに成功したものの、途中でシステムが落ちるなどの不具合に見舞われた。

プログレスM-21Mは2度目のクールスNAの試験となり、またプログレスM-15Mでは予備としてクールスAも搭載されていたが、プログレスM-21Mでは初めてクールスNAのみの搭載となった。打ち上げ後、ISSへのドッキング時に使用されたものの、50mまで接近したところで不具合が発生、結局バックアップとして搭載しているTORUと呼ばれる手動のシステムを使い、ISSに滞在しているオレッグ・コトフ宇宙飛行士の操縦によってドッキングを果たした。後にソフトウェアに問題があったことが分かった。

4月23日にはクールスNAを再度試験するため、プログレスM-21MはISSから一旦離脱。そして4月25日にISSへアプローチを開始、クールスNAは順調に機能し、無事にドッキングを果たした。

クールスNAは数年以内に登場する予定の次世代の、プログレスMS補給船とソユーズMS宇宙船で制式採用される予定となっており、まだ不安は残るものの、今回の試験は大きな糧となったことだろう。プログレスMSは現時点で2015年10月に、またソユーズMSは2016年3月に、それぞれ初飛行が予定されている。

 

■ТГК «Прогресс М-21М» завершил полет
http://www.federalspace.ru/20674/