ロシア航空宇宙防衛軍は6日、偵察衛星コバルトMを搭載したソユーズ2.1aロケットの打ち上げに成功した。コバルトMはフィルム回収式の偵察衛星で、今回が9機目の打ち上げとなる。
コバルトMを搭載したソユーズ2.1aは、モスクワ時間2014年5月6日17時49分(日本時間2014年5月6日22時49分)ロシアの北西部にあるプレセツク宇宙基地の43/3発射台から離昇した。ロケットは順調に飛行し、打ち上げは成功。米国のレーダーも軌道上に衛星を捕捉し、成功が裏付けられている。
打ち上げられた衛星は、公式にはコスモス2495と呼ばれている。コスモス+番号の名前は、ソ連/ロシアの軍事衛星や試験衛星など、その本当の名前が公に明かされない際に与えられるものだ。
コスモス2495の正体は、通算9機目となる偵察衛星のコバルトM(コーバリトM)であると言われている。コバルトMはフィルム回収式の偵察衛星で、フィルムカメラで地上を撮影した後、そのフィルムの入ったカプセルを地球に落として地上で回収、現像して解析するというものだ。現代ではデジタルカメラで撮影し、そのデータを地上に電波で送る衛星がありふれているが、ロシアでは信頼性やコストの面、またデータ電送式の偵察衛星の配備が遅れていることなどもあり、未だに年1機ほどの間隔でコバルトMが打ち上げられている。
コバルトMはTsSKBプラグリェース社が全体の取りまとめを、肝心の光学機器はKBアルセーナルが担当している。どちらもソ連時代から続く、宇宙機と光学機器開発の名門である。2つの太陽電池パドルを持ち、軌道上での活動可能期間は、最大で130日ほどと見られている。打ち上げ時の質量は約6.7t、またある資料では7.6tであるとされる。
衛星に搭載されているカメラは約0.3mの分解能を持ち、撮影されたフィルムは衛星の両脇にある小さな2つの球形カプセルによって大気圏に再突入し、地上で回収される。また衛星中央の円錐台形状の部分も再突入が可能で、こちらはフィルムと一緒にカメラ本体も回収される。着陸場所は通常、ロシア南西部、カザフスタンとの国境に近いオレンブルクに設定されている。
コバルトMはヤンターリと呼ばれるフィルム回収式の偵察衛星シリーズの最新型にあたる。もとはゼニートという同様のミッションを持ったフィルム回収式の偵察衛星を取り替えるために開発されたが、結局ゼニートは改良が重ねられつつ、1994年まで打ち上げが続けられた。
最初のヤンターリ衛星(ヤンターリ2K)は1974年に打ち上げられ、以後改良されつつ運用され続けてきた。またそこから派生し、撮影したデータを電送できる形式の衛星も登場し、そこからさらに現在運用中のレスールスDK1やレスールスP、ペルソナといった衛星へと進化した。一方でフィルム回収式の衛星も、その信頼性の高さ、また電送式の衛星の開発と配備の遅れなどもあって引き続き打ち上げが続けられ、2004年にその最新型にあたるコバルトMの1号機が打ち上げられた。その後も1年に1機ほどのペースで打ち上げが続けられ、2012年をもって引退したと考えられていた。
しかしRussianSpaceWebが報じたところによれば、データ電送式のペルソナの2号機が、2013年6月7日の打ち上げ直後に機能喪失したため、その穴を埋めるためコバルトMが再生産され、それが今回の9号機の打ち上げになったという。またペルソナの1号機は2008年7月26日に打ち上げられているが、これも打ち上げ直後に機能喪失したことが伝えられている。
またコバルトMはこれまでソユーズUで打ち上げられており、ソユーズ2.1aが使われたのは初めてであった。
■Войска ВКО провели запуск космического аппарата военного назначения : Министерство обороны Российской Федерации
http://structure.mil.ru/structure/forces/cosmic/news/more.htm?id=11925074@egNews