国際宇宙ステーション(ISS)で4月30日、HDEV(High Definition Earth Viewing)と呼ばれる、高精細度(HD)カメラによって地球を撮影し、Ustreamを使いリアルタイムで映像を配信する実験が始まった。
HDEV装置は、先日打ち上げられたドラゴン補給船運用3号機に積み荷として搭載され、ISS到着後にISSのロボットアーム、カナダーム2を使いドラゴンから取り出され、欧州宇宙機関(ESA)の実験モジュール、コロンバスの外部に取り付けられた。
HDEV装置は4台のHDカメラから構成されており、それぞれ日立、東芝、ソニー、パナソニックから一般に発売されているものが利用されている。この4台のカメラは気圧や温度が管理された1つの箱に収められて、ISSの進行方向の前方向きに1台、天底向きに1台、そして後方向きに2台が割り振られている。撮影を担当するカメラは決められた時間毎に切り替えられ、ローテーションする。
この実験は、長期間にわたる宇宙空間でのビデオカメラの動作を試験することを目的としている。いずれは宇宙空間における強い放射線の影響で画質が低下し、またホットピクセルが現れたりといった症状が現れ、そして壊れることになろう。
撮影された映像は、Ustreamを使ってほぼリアルタイムで配信されており、ISSから見下ろす形で、青く美しい地球を見ることができる。ISSが地球の影に入っているときは真っ暗な画面になるが、ISSは地球を約90分で1周しているので、しばらく待てば美しい夜明けの光景とともに、再び美しい地球が現れる。
ただし、撮影するカメラを切り替えている間や、ISSと通信ができない間は、灰色の画面になるとのことだ。
■ISS HD Earth Viewing Experiment
http://www.ustream.tv/channel/iss-hdev-payload