アメリカ航空宇宙局(NASA)は21日、スペース・ローンチ・システム(SLS)のコア・ステージが、基本設計審査会(PDR: Preliminary Design Review)を通過したと発表した。

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SLS(Space Launch System)は、2030年代に実施が計画されている有人小惑星・火星探査を目指して、現在NASAやボーイング社を中心に開発されている新型ロケットである。開発が中止されたアレスI/Vロケットとは異なり、エンジン数を増やしたり、より強力な第2段を追加する事で、有人宇宙船の打ち上げから重い貨物の打ち上げまで、単一のロケットで対応できる。

そのコア・ステージ(第1段)にはスペースシャトルで使われていたエンジンやタンクを改良したものが使われ、またその両脇を固めるブースターもやはりシャトルの固体ロケットブースター(SRB)を改良したものが用いられるなど、シャトルの部品を組み合わせる事によって、低コストでかつ、シャトルの持つ信頼性を受け継いだ、強力なロケットを建造する事を目指している。またゆくゆくは、より安価なエンジンや新開発のブースターが使われる見込みだ。

基本設計審査会とは設計が当初の要求を達成できているか、またスケジュールや予算が妥当であるかを確認するためのもので、またコア・ステージの審査が通過した事で、ブースターや上段など、コア・ステージと結合される他の部品の設計を固める事ができる。2014年には詳細設計審査会(CDR: Critical Design Review)が待ち構えており、これを通過すればいよいよ実機の製造に入る事ができる。

SLSの初号機の打ち上げは2017年に予定されている。この飛行では、無人のオリオン宇宙船を月に送り、月の裏側を通ってそのまま地球に帰還させる予定だ。

 

■NASA – NASA’S Space Launch System Core Stage Passes Major Milestone, Ready to Start Construction
http://www.nasa.gov/home/hqnews/2012/dec/HQ_12-440_SLS_Core_Stage_Milestone.html

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