宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」打ち上げの様子を描いた想像図(Credit: ESA - D. Ducros)

【▲宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」打ち上げの様子を描いた想像図(Credit: ESA - D. Ducros)】

アメリカ航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)は、新型宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」の打ち上げ予定日が日本時間2021年12月24日に再設定されたことを明らかにしました。

ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げは直近では日本時間12月22日に目標が定められていましたが、発表によると、打ち上げに使われる欧州の「アリアン5」ロケットのシステムとウェッブ宇宙望遠鏡の間で交わされる通信に関する問題に対処するため、2日延期されました。新たな打ち上げ目標日時は日本時間12月24日21時20分とされています。

飛行中のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を保護するフェアリングの取付作業の様子(Credit: ESA-Manuel Pedoussaut)

【▲飛行中のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を保護するフェアリングの取付作業の様子(Credit: ESA-Manuel Pedoussaut)】

クールー(フランス領ギアナ)のギアナ宇宙センターでは現地時間12月11日にウェッブ宇宙望遠鏡をアリアン5の上段(第2段)と結合する作業が行われており、現地時間12月17日にはフェアリング(ロケットの先端にある人工衛星や探査機などを格納する部分)の取付作業が完了しています。

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2007年という当初の計画から様々な理由で延期され続けてきたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げまで、残すところ一週間を切りました。奇しくもクリスマスイブと重なったウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げは、この日を待ち続けてきた世界中の研究者だけでなく宇宙ファンにとっても素晴らしい贈り物になりそうです。

■ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡について

観測を行う宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」を描いた想像図(Credit: Adriana Manrique Gutierrez, NASA Animator)

【▲観測を行う宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」を描いた想像図(Credit: Adriana Manrique Gutierrez, NASA Animator)】

ジェイムズ・ウェッブは六角形の鏡を18枚組み合わせた直径6.5mの主鏡を持ち、赤外線の波長で天体を観測する宇宙望遠鏡です。今年で打ち上げから31周年を迎えた「ハッブル」宇宙望遠鏡(主鏡の直径2.4m)は地球を周回していますが、ウェッブ宇宙望遠鏡は地球と太陽の重力や天体にかかる遠心力が均衡するラグランジュ点のひとつ「L2」(地球からの距離は約150万km)まで移動して観測を行います。

赤外線を利用するウェッブ宇宙望遠鏡の重要な役割の一つが、遠方宇宙の観測です。遠くの宇宙を観測することは、初期の宇宙を観測することでもあります。地球上では一瞬で届くように感じる光(電磁波)も、実際には秒速約30万kmという限られた速度で進みます。天文学で用いられる「光年」という単位は、光が1年間に進む距離をもとに定められています。そのため、100億光年先の銀河から届いた光は、今から100億年前にその銀河から放たれた光ということになるわけです(※)。

ただ、この宇宙は膨張しているので、宇宙空間を進む光の波長は距離が長くなるほど伸びていきます。人の目に見える可視光線であれば、遥か彼方にある銀河から地球に届くまでのあいだに波長が伸びて、赤外線になってしまいます。ウェッブ宇宙望遠鏡は遠方宇宙から届いた赤外線を捉えることで、初期宇宙で誕生した宇宙最初の世代の星(初期星、ファーストスター)や最初の世代の銀河を観測し、宇宙の起源に迫ることが期待されています。

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赤外線は天体だけでなく熱を持つ物体からも放射されます。宇宙望遠鏡自体も例外ではなく、主鏡や副鏡、観測装置、機体の温度をできるだけ低く保っておかないと、自身が放射した赤外線が観測の妨げになってしまいます。機体を低温に保つために、ウェッブ宇宙望遠鏡は太陽光を遮断するためのサンシールド(日除け)を装備しています。

サンシールドはサイズが約21m×14mという巨大なものですが、直径6.5mの主鏡も含めて、そのままではアリアン5のフェアリング(直径5m)に収まりません。そこで、ウェッブ宇宙望遠鏡では主鏡・副鏡・サンシールド・太陽電池パネルをすべて畳んだ状態で打ち上げ宇宙空間で展開する方法が採用されています。

▲ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げから主鏡の展開完了までを再現した動画▲
(Credit: ESA/ATG medialab)

 

※…記事中の距離は天体が発した光が地球で観測されるまでに移動した距離を示す「光路距離」(光行距離)で表記しています(参考:遠い天体の距離について|国立天文台

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Image Credit: ESA-M.Pedoussaut
Source: NASA / ESA
文/松村武宏