NASAの火星探査機、軌道上から探査車「Perseverance」を撮影
着陸から6日後にマーズ・リコネッサンス・オービターから撮影されたPerseverance(Credit: NASA/JPL/University of Arizona)
着陸から6日後にマーズ・リコネッサンス・オービターから撮影されたPerseverance(Credit: NASA/JPL/University of Arizona)

こちらはアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」によって撮影された、火星のジェゼロ・クレーターの一部を捉えた画像です。

中央部分に白く小さな長方形の物体が写っていますが、これは日本時間2月19日朝にジェゼロ・クレーターへの着陸に成功した火星探査車「Perseverance(パーシビランス、パーセべランス)」の姿です。アリゾナ大学月惑星研究所によると、火星を周回するMROは数日おきにPerseveranceを撮影することが可能で、公開された画像はPerseveranceの着陸から6日後に約290km離れた軌道上から撮影されたといいます。

同研究所によると、Perseveranceの着陸地点周辺は明るい地面が暗い色合いの砂などに覆われているように見えるといいます。Perseveranceの左右の地表(画像に向かって右上と左下)が白っぽく見えますが、これは着陸時に降下ステージのロケットエンジンの噴射によって地表を覆う砂などが吹き飛ばされたことで、その下の地面があらわになったものとみられています。

MROが撮影した降下中のPerseveranceとジェゼロ・クレーター。右上はPerseveranceを拡大したもの(Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)

MROがPerseveranceを撮影したのは今回が初めてではなく、着陸当日にはパラシュートを展開して降下する姿を軌道上から捉えることに成功しています。また、今回の画像から5日前となる着陸翌日に撮影された画像には、Perseveranceの接地後に分離して飛び去った降下ステージ、Perseverance本体と降下ステージを収めていたバックシェルおよびパラシュート、火星大気圏への突入時にPerseveranceを保護した耐熱シールドの落下地点も捉えられています。今はまだ目立つこうした人工物や痕跡も降り積もる塵や砂に少しずつ埋もれていき、年月が経つにつれて見えなくなっていくとのことです。

Perseveranceの着陸翌日に撮影された着陸地点周辺。四角は1辺200mの範囲を示す(Credit: NASA/JPL/University of Arizona、日本語表記は筆者)

 

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Image Credit: NASA/JPL/University of Arizona
Source: アリゾナ大学
文/松村武宏