こうのとりが運んだ「宇宙仕様のTHETA」で撮影した全天球画像が到着!

先日打ち上げに成功し、国際宇宙ステーション(ISS)へと無事到着した日本の宇宙ステーション補給機「こうのとり」8号機。ISSに運ばれた荷物のなかにはリコー製の全天球カメラが含まれていましたが、今回そのカメラによって撮影された宇宙空間の全天球画像が宇宙航空研究開発機構(JAXA)によって公開されました。

■眼下に広がる地球の姿をまるごと撮影

今回公開された画像は10月4日に撮影されたもので、ISSの日本実験棟「きぼう」の外部にある「船外実験プラットフォーム」からの眺めを写したものとなります。上記の画像は全天球画像の一部をキャプチャしたものですが、カメラを取り囲む実験装置のあいだから、青く輝く地球の姿がしっかりとキャッチされています。

国際宇宙ステーションを下から撮影した写真。赤丸で囲んだ部分が「きぼう」の船外実験プラットフォーム(Credit: NASA、赤丸は筆者が追加)

写真を撮影したのは「RICOH THETA」をベースに宇宙空間でも使えるように開発された全天球カメラ。いわば「宇宙仕様のTHETA」です。宇宙で使用される全天球カメラとしては世界最小サイズとなります。

もともとこのカメラは、宇宙空間での光通信技術を実証するための小型衛星光通信実験装置「SOLISS」の一部として組み込まれているもの。光通信アンテナを動かす「2軸ジンバル」という仕組みの動作確認を行うために、そのすぐ隣に取り付けられています。固定されたままでも360度すべてが見渡せるカメラなので、こうした用途にも活用できるのですね。

小型衛星光通信実験装置「SOLISS」の全体像。装置の右手前に見えるレンズが付いた小さな縦長の装置が、THETAをベースに開発された全天球カメラ(Credit: JAXA/SONY CSL)

また、全天球カメラで撮影された動画もあわせて公開されている他に、JAXAのプレスリリース(http://www.ihub-tansa.jaxa.jp/theta_photo.html)に埋め込まれている静止画の画像データはいろいろなアングルから眺めることができます。こちらも是非ご覧下さい。

関連:JAXAとリコー、THETAをベースにした宇宙用の全天球型カメラ開発。こうのとり8号機で打ち上げ

Image/Source: JAXA/RICOH
文/松村武宏