プログレス補給船、国際宇宙ステーションの軌道修正に成功―16日に失敗、再挑戦
【▲国際宇宙ステーション(ISS)(Credit:JAXA/NASA)】

ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)は5月18日、プログレスM-26M補給船のスラスター(ロケット・エンジン)を噴射し、国際宇宙ステーション(ISS)の軌道の高度を上げることに成功したと発表した。

この軌道修正は当初、今月16日に実施が予定されていたが、問題が発生し失敗に終わっていた。

発表によると、スラスターの噴射は、モスクワ時間2015年5月18日3時30分(日本時間2015年5月18日9時30)から始まり、1922秒間にわたって続いた。その結果、ISSの平均高度は約2.8km上昇し、16日に予定されていた目標を達成することができたという。

16日に失敗した理由については、公式には明らかにされていない。ロシアのインターファクス通信が16日に報じたところによると、ISSのロシア側モジュールに搭載されているコンピューターから、何らかの理由で、スラスターの噴射を止める指令が出されたという。この失敗から数時間後には、プロトンM/ブリーズMロケットの打ち上げが失敗しており、連続した問題発生に、ロシアの宇宙開発関係者は危機感を強めていた。

プログレス補給船を使った軌道修正では、推力の大きなメイン・スラスターを使うとドッキング部分への負荷が大きくなるため、プログレスの姿勢制御に使うための推力の小さなスラスターを8基、ないしは4基、同時に噴射する。ロシアのタス通信によると、16日は8基を噴射しようとしたが、今回は半分の4基のみの噴射に切り替えたという。半分の数のスラスターで同じ増速量を得るため、16日に計画されていた噴射時間は901秒だったが、今回はほぼ2倍の1922秒間の噴射となった。

人工衛星は大気との抵抗で徐々に高度を下げており、特に巨大な建造物であるISSはよりその影響が大きくなるため、定期的にISSの後部にドッキングしている補給船のスラスターを噴射して、軌道を持ち上げる必要がある。これを「リブースト」(Reboost)と呼ぶ。

今回のリブーストは、来月上旬に予定されている、ソユーズTMA-15M宇宙船の地球帰還に向けたドッキング解除に備えたものでもあった。また今月21日には、ISSに係留中のドラゴン補給船運用6号機の離脱も計画されている。今回成功したことで、これらは予定通り実施されるものと思われる。

 

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