ボーイング社とユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社は2月20日、米国フロリダ州にあるケープ・カナヴェラル空軍ステーションの第41発射台(SLC-41)で、宇宙飛行士がロケットの先端の宇宙船に乗り込むための塔(クルー・アクセス・タワー)の起工式を行った。
SLC-41は、ULA社が運用するアトラスVロケットの打ち上げに使われている発射台で、これまでアトラスVは無人の衛星の打ち上げばかりに使われていたが、2017年からボーイング社の有人宇宙船CST-100の打ち上げが行われる予定となっている。今回造られるタワーによって、ロケットの先端に搭載された宇宙船に、宇宙飛行士が乗り込むことが可能となる。
タワーの高さは200フィート(約61m)で、内部にはエレベーターがあり、宇宙飛行士らはこれに乗って、ロケットに搭載された宇宙船と同じ高さまで登る。そして約13mの長さを持つアクセス・アームを渡り、タワーから宇宙船へ乗り込むようになっている。また打ち上げ前のロケットに何らかの問題が発生した際、宇宙飛行士が安全に脱出できるようにもなっている。
タワーは、ロケットの打ち上げの合間に建設が進められるようモジュール式が採用されており、あらかじめ製造された部品を積み重ねていくことで建造されるという。これからアトラスVの打ち上げのたびに、その傍らでタワーが少しずつ高くなっていく様子が見られることになるだろう。完成までは18か月が予定されている。
ULA社のJim Sponnick副社長は「今から53年前の今日、ここから数マイル離れたところから、ジョン・グレンはアトラス・ロケットに乗って、米国人初の地球周回飛行へ旅立ちました。この遺産を受け継ぎ、米国が宇宙飛行士を打ち上げる能力を取り戻すため、ボーイング社とNASAと共に働けることを、私たちは大変誇りに思います」と語る。
SLC-41は1965年からタイタン・ロケットの発射台として使われ、火星探査機ヴァイキングや、外惑星探査を狙ったヴォイジャーをはじめとした、多数の人工衛星や探査機が打ち上げられた。タイタンの引退後、2002年からはアトラスVの発射台となり、冥王星探査機ニュー・ホライズンズや火星探査機キュリオシティなどが打ち上げ続けられている。
NASAケネディ宇宙センターのディレクターを務めるBob Cabana氏は「私はこのタワーが完成し、アトラスVに載せられたCST-100が国際宇宙ステーションへ向けて飛び立つ光景を見るのが待てません。この歴史的な発射台は多くのNASAの科学ミッションの出発地となり、そして今や、NASAの宇宙飛行士という、よりかけがえのない、貴重な積み荷を打ち上げる場所となります」と語った。
■Ceremony Kicks Off Crew Access Tower Construction | NASA
http://www.nasa.gov/content/ceremony-kicks-off-crew-access-tower-construction/#.VOf0bC72TdE