ロシアのフルーニチェフ社、ロシア航空宇宙防衛部隊は11月10日、アンガラA5ロケットの初打ち上げに向けた試験を行うため、ロケットをプレセツク宇宙基地の発射台へ輸送した。アンガラA5が発射台に立つのは初めてのこととなる。試験は7日間にわたって実施され、順調に進めば12月に打ち上げられる予定だ。
アンガラはロシアが開発中の新型ロケットで、第1段や上段を組み替えることができるモジュール化を採用しており、最小構成のアンガラ1.2、中型ロケットのアンガラA3、大型ロケットのアンガラA5などのバリエーションが計画されている。これにより、ロコットやドニエプル、ゼニート、プロトンなど、旧式化しつつあり、なおかつウクライナの部品を使用しているロケットを一挙に代替することを目的にしている。
アンガラの1号機は今年7月9日に打ち上げられた。1号機では、第1段を1基、第2段にアンガラA3やA5などで使用されるURM-2を搭載した特殊な構成をしたアンガラ1.2PPと呼ばれる機体が使われ、また衛星をサブオービタル飛行(衛星を軌道に乗せない飛行)を行い、カムチャツカ半島にあるミサイル試験場に着弾した。
現在打ち上げ準備が進んでいるアンガラA5は、プロトン・ロケットとほぼ同じ打ち上げ能力を持ち、いずれはプロトンを代替する予定となっている。アンガラA5はその強大な打ち上げ能力を実現するため、アンガラ1.2の第1段を囲むように、さらに4基の第1段を装備する。この4基を第1段、アンガラ1.2では第1段と呼ばれてた中央部分を第2段とし、その上に第3段のURM-2が載り、さらにその上に第4段としてブリーズM、もしくはKVTKが搭載される。
打ち上げ能力は、近地点高度5,500km、軌道傾斜角25度の静止トランスファー軌道に、ブリーズM使用時は5.4t、KVTKでは7.5tを投入できる。また静止軌道への直接投入であれば、ブリーズMで3.0t、KVTKでは4.6tという能力を持つ。
今回の試験は、ロケットを発射台に立て、配管やケーブルなどを結合し、また推進剤も実際に充填されるなど、打ち上げ本番に近い状況の下で、ロケットや発射台のそれぞれの機能を確認するために行われている。
試験は7日間続き、無事に完了すれば、12月にも打ち上げられる予定だ。この打ち上げでは、ダミーではあるものの人工衛星を搭載し、ブリーズMによって直接、静止軌道への投入を目指すという。
■ГКНПЦ имени М.В.Хруничева | Пресс-релизы - Ракета-носитель «Ангара-А5» вывезена на стартовый комплекс космодрома Плесецк
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