中国航天科技集団公司(CASC)は9月26日、今年10月に予定されている嫦娥五号飛行試験機の打ち上げで使われる、長征三号丙ロケットが完成し、まもなく打ち上げ場所である西昌衛星発射センターへ向けて輸送されると発表した。
今回の打ち上げに使われるロケットは、「長征三号丙改二型」と呼ばれており、これまで多くの衛星を打ち上げてきた長征三号丙(CZ-3C)を基本とし、そこにロケットからのデータをリアルタイムで地上に送ることができる装置が搭載された特別仕様機だ。データ中継には、中国がかねてより整備を進めていたデータ中継衛星「天鏈一号01星」、「同02星」、「同03星」の計3機からなるネットワークを用いるとされる。
打ち上げ時期は今年の10月下旬とされており、中国の宇宙開発系の掲示板では、10月24日という情報が流れている。
嫦娥五号飛行試験機は、中国は現在2017年の打ち上げを目指して開発を進めている、嫦娥五号の試験機だ。嫦娥五号は月に着陸して石や土を採取し、地球に持ち帰るサンプル・リターンを行うことを目的としている。
これまで中国は、嫦娥一号と二号で月軌道への投入、そして嫦娥三号で月面に着陸した経験がある。しかし嫦娥五号の実現のためには、月面から離陸し、月軌道から離脱して地球へ向かう軌道に乗り、そして第二宇宙速度(秒速11.2km)に近いスピードで地球の大気圏に再突入し、ある程度狙った地点に着陸する技術が必要となる。
嫦娥五号飛行試験機はこうした地球と月の往復航行と、第二宇宙速度で大気圏へ再突入し、地上に帰還するための技術を試験することを目的としている。なお、名称はまだ定まっておらず、「嫦娥五号飛行試験機」や「嫦娥五号任務返回機」、また「Chang'e-5 Test-1(CE5-T1)」などと複数の名前で呼ばれている。
また、いくつかの報道によれば、嫦娥五号飛行試験機には細菌などの生物が搭載されるとされる。ヴァン・アレン帯の外の、高い放射線環境で生物がどのような影響を受けるかを実験し、将来の有人月探査の研究に役立てる狙いがあるとみられる。
以前明らかにされた写真によれば、帰還カプセルは神舟宇宙船の帰還カプセルと相似形をしていることが分かっている。神舟の設計を流用することで、開発の期間、コスト、リスクを抑えたと思われる。
■探月三期再入返回任务火箭顺利出厂_中国航天科技集团公司
http://www.spacechina.com/n25/n144/n206/n133097/c752836/content.html