ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社は28日、米空軍の静止軌道宇宙状況認識計画(GSSAP)で使用される衛星2機と、空軍研究所の実験衛星エンジェルズの計3機を搭載した、デルタIVミディアム+(4,2)ロケットの打ち上げに成功した。
ロケットは米国東部夏時間2014年7月28日19時28分(日本時間2014年7月29日8時28分)、フロリダ州にあるケープ・カナヴェラル空軍ステーションのSLC-37Bから離昇した。ロケットは順調に飛行し、衛星を所定の軌道に送り込んだ。
GSSAP(Geosynchronous Space Situational Awareness Program)衛星は、米空軍が進める宇宙状況認識計画の主役となる衛星だ。同計画の存在は長らく秘密であったが、今年初めに明らかにされた。
宇宙状況認識とは、宇宙空間にある物体を監視し、その軌道と特性を正確に把握するというもので、例えば国際宇宙ステーションと、何らかの衛星との衝突を未然に防いだり、ある国が打ち上げた軍事衛星の正体を調べたりといった用途で使われる。また同様の目的で運用されている米戦略軍の宇宙監視ネットワーク(SSN)の一部としても機能する。
衛星の詳細はあまり明らかにされていないが、電子光学センサーを搭載しており、高度約36,000kmの静止軌道の近くから、目標となる衛星を監視することができるという。また軌道変更能力も持っており、目標物をある程度追跡することも可能だとされる。衛星の製造はオービタル・サイエンシズ社によって行われ、運用は米空軍が行う。今回打ち上げられた2機に加え、2016年にはもう2機の打ち上げが予定されている。
エンジェルズ(ANGELS、Automated Navigation and Guidance Experiment for Local Space)は米空軍研究所の衛星で、こちらもオービタル・サイエンシズ社によって製造された。エンジェルズも宇宙状況認識に関する衛星で、目標物を追跡、監視するための技術実証機として位置づけられている。今回その目標物には、打ち上げに使ったデルタIVの第2段が使われる。またロケットへの搭載にはESPA(EELV secondary payload adapter)と名付けられたアダプターが初めて用いられた。
なお今回の打ち上げミッション全体を指して、AFSPC-4という名前が付けられている。
デルタIVはボーイング社によって開発されたロケットで、同社とロッキード・マーティン社によって設立されたULA社によって運用されている。デルタIVの打ち上げは今回で27機目となり、2004年にデルタIVヘビー構成の機体が、衛星を予定よりも低い軌道に投入してしまった以外は、安定した打ち上げを続けている。
今回の打ち上げで使われたのはミディアム+(4,2)と呼ばれる構成で、直径4mの衛星フェアリングと第2段を持ち、2基の固体ロケット・モーターを装備している、ということを示している。
Source
- ULA - ULA Delta IV Launches AFSPC-4 - United Launch Alliance