ロシアのイタル・タス通信は11日、ロシアの宇宙企業RKKエネールギヤ社の社長、ヴィタリー・ロポタ氏へのインタヴューを掲載した。その中で国際宇宙ステーション(ISS)の最後のモジュールである多目的研究モジュール(MLM、愛称ナウーカ)の打ち上げが、現在予定されている2015年から遅れるだろうという見通しが明かされた。
ロポタ社長はまた、2013年12月31日の時点でMLMがフルーニチェフ社に送り返されたことを明かした。MLMはフルーニチェフ社での製造が終わった後、エネールギヤ社に送られ、打ち上げに向けた最終試験を受けているはずであったが、何らかの問題が起き、かつそれは製造会社に送り返さなければならないほど重大なものであったことを示している。
また、ロシアの宇宙開発専門のWebフォーラム『ノーヴォスチ・コスモナーフティキ』に26日、「MLMの打ち上げを2017年2月まで遅らせると決定された」という内容の、関係者と思われる人間による書き込みがなされた。
いくつかの報道によれば、エネールギヤ社での試験中に燃料バルブから燃料が漏れるという不具合が発生し、かなり大規模な修理が必要になった、ということが分かっている。またおそらくその燃料漏れが原因で、推進システム自体に汚染が広がっていることも判明したという。MLMがフルーニチェフ社に送り返されたのは、おそらくこれが原因であろう。『ノーヴォスチ・コスモナーフティキ』への書き込みによれば、汚染は燃料タンクまでには及ばなかったものの、配管はすべて取り替える必要が生じたという。またスラスターのロケットエンジンが、打ち上げが遅れたために設計寿命を越えてしまい、これも交換する必要が生じ、さらに新しいエンジンの生産には8ヶ月を要するという。
MLMは打ち上げ後、ISSのズヴェズダ・モジュールに結合され、その名前の通り実験場として、また他の宇宙機がドッキングする港として、さらに宇宙飛行士の生活空間としても利用される予定だ。さらに、ISS計画終了後にはMLMを中心に分離し、新しい宇宙ステーションとして独立することも可能で、ロシアではそうした構想が暖められている。
■Виталий ЛОПОТА: пока политики одумаются, мы должны спроектировать следующее поколение орбитальной станции
http://itar-tass.com/opinions/interviews/2065