ロシアが2011年7月に打ち上げた電波天文衛星スペクトルRが、世界最大の宇宙に置かれた電波望遠鏡としてギネス世界記録に認定された。スペクトルRを運用するレベデフ物理学研究所アストロ・スペース・センター(ASC LPI)が12日に発行したニュースレターの中で発表した。
スペクトルRは2011年7月18日に打ち上げられた電波天文衛星で、地球にもっとも近い高度が600km、もっとも遠い高度が330,000km、赤道となす角度が51.3度の軌道を回っている。
同機の最大の特長は直径10mの巨大なアンテナで、このアンテナによって叩き出される8マイクロ秒角という高い角分解能を使い、遠くの銀河やブラックホール、中性子星の詳細な観測や、ダークエネルギーを検出することを目的としている。このアンテナはアルミニウムと炭素繊維製で造られた27枚の花びらのような部品で構成されており、打ち上げ前はつぼみのように折り畳まれて、軌道上で開花した。
スペクトルRはラジオアストロンと呼ばれる、国際的なVLBI観測計画の一翼を担っている。VLBIとは超長基線電波干渉計のことで、複数の電波望遠鏡をそれぞれを遠く離した場所に置き、それによって、あたかも超巨大な電波望遠鏡を使ったかのような観測が可能になる。このとき、お互いの距離が望遠鏡の口径とほぼ同義になるため、原理上は望遠鏡同士が離れていればより良い。しかし、地上に電波望遠鏡を置く場合には地球の大きさという制約がある。そこで一つ以上の電波望遠鏡を宇宙に置き、地球上の電波望遠鏡と連携させることで、地球上だけでは実現できないほどの、とてつもなく巨大なVLBIを作り出す技術、スペースVLBIが生まれた。スペースVLBI技術の正しさは、1997年に打ち上げられた日本のMUSES-B「はるか」によって、世界で初めて証明された。
■ Спектр-Р попал в Книгу рекордов Гиннесса
http://www.laspace.ru/rus/news.php#403